粛宗の4人の王妃【政争に利用された悲劇の王妃たち】

ドラマ「トンイ」には３人の王妃が登場しますが、実は、粛宗には４人の王妃がいました。

激動の時代を生きた王妃たちは、どんな王妃だったのか？

粛宗の王妃について詳しくご紹介します。

 

粛宗の4人の王妃

実は、粛宗（スクチョン）には、生涯４人の王妃がいました。

最初の王妃はドラマ「トンイ」には登場していません。

実際、史実における粛宗と王妃の関係はどうだったのでしょうか。

まずは簡単にご紹介します。

 

仁敬王后は粛宗の最初の王妃でしたが、20歳の若さで亡くなっています。

ドラマ「トンイ」には登場していません。

 

仁顕王后は朝鮮王朝で唯一、生前に復位したの王妃でした。

最も、政争に振り回された王妃でした。

 

張禧嬪は中人から王妃になった朝鮮王朝唯一の王妃です。

また、朝鮮王朝で廃位のまま残る王妃は３人いますが、張禧嬪はその一人です。

粛宗に寵愛され王妃になりましたが、ドラマの通りに最後は賜死しています。

 

仁元王后は粛宗最後の王妃です。

粛宗と二人の間には子供はできませんでした。

仁元王后は延礽君を養子にして、英祖として即位させています。

 

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政略結婚だった薄幸の仁敬王后

粛宗の最初の王妃であった仁敬王后は光山金氏一族の出身です。

11歳の時に、まだ世子だった粛宗と政略結婚しています。

ドラマ「トンイ」に登場するシムウンテクのモデルとなった金春沢は、仁敬王后の甥にあたります。

 

仁敬王后は二人の娘を生んでいますが、いずれも幼くして亡くしています。

自身も天然痘で20歳の若さで亡くなりました。

1680年10月26日のことです。

 

最初の妃である仁敬王后はトンイには登場していません。

詳しくは＞＞仁敬王后の家系図【甥は仁顕王后の復位に貢献した金春沢】をご覧下さい。

 

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廃位から復活した仁顕王后

ドラマでは最後までトンイを応援した仁顕王后は、朝鮮王朝で唯一、生前に復位したの王妃です。

 

仁顕王后は名門驪興閔氏一族の出身です。

粛宗の最初の王妃である仁敬王后が亡くなると、明聖王后（粛宗の母）と宋時烈の推薦で王妃となりました。

仁顕王后、15歳のときです。

 

政争により廃位されましたが、決して恨むことなく、慎ましく暮らしたといいます。

しかし、６年間の廃位生活で無理がたたり、復位後、35歳の若さで亡くなってしまいました。

生涯、粛宗から寵愛を受けることはなかったと言われています。

詳しくは＞＞仁顕王后の家系図【４人の妃を輩出した驪興閔氏の系図を徹底調査】をご覧下さい。

 

王妃から降格した張禧嬪

ドラマでは最初はトンイの味方でしたが、最後は天敵となる張禧嬪です。

張禧嬪は高麗時代の大功臣・張金用を始祖とする仁同張氏一族の出身です。

通訳だった張烱の娘として生まれました。

 

張禧嬪は荘烈大王大妃の針房内人として入宮していますが、その美しさは実録にも記録されているほどでした。

その美貌は、すぐに粛宗の目に止まり、寵愛を受けるようになります。

 

しかし、粛宗の母・明聖王后からは嫌われ、張禧嬪は宮廷から追い出されてしまいました。

1684年、明聖王后が亡くなると、宮廷に呼び戻されます。

この後は、ドラマのとおり、王妃になり景宗を生みますが、廃位され、処刑されてしまいます。

詳しくは＞＞張禧嬪の家系図【朝鮮王朝で唯一、中人出身で王妃なった女性】をご覧下さい。

 

延礽君を養子にした仁元王后

仁元王后は新羅の金閼智を始祖とする慶州金氏一族の出身です。

仁顕王后が亡くなると、揀択により粛宗の３番目の王妃に選ばれました。

仁元王后は厳格で意志が強く、文学の才能もあったといいます。

 

ドラマでは最後にトンイを信用して、大逆転劇の立役者のなった王妃です。

実際、仁元王后は英祖の母・淑嬪崔氏（トンイ）とは仲が良かったといいます。

 

粛宗が逝去して景宗が王になると、仁元王后は延礽君を養子にしました。

少論派から狙われていた延礽君を守るためだったといいます。

 

子供のいなかった仁元王后にとって、延礽君を王にすることが宮廷で生き残る唯一の道だったのではないでしょうか。

英祖は生涯、仁元王后を大事にしたと言われています。

詳しくは＞＞仁元王后の家系図【延礽君（英祖）を救った王妃とは】をご覧下さい。

 

粛宗の王妃の相関図

粛宗には生涯４人の王妃と５人の側室がいました。

側室の一人がトンイこと淑嬪崔氏であり、もう一人がドラマ「ヘチ王座への道」に登場した延齢君（フォン）の母親である榠嬪朴氏でした。

＜粛宗の王妃の相関図＞

 

史実で見る王妃の年表

王妃に関する出来事を年表に整理しました。

年	出来事
1659	張禧嬪が張烱の次女として生まれる
1661	仁敬王后が金萬基の長女として生まれる
1667	仁顕王后が閔維重の次女として生まれる
1671	仁敬王后は世子だった粛宗と政略結婚する
1674	粛宗が即位、仁敬王后は王妃となる
1677	仁敬王后が長女を出産するが早世
1679	仁敬王后が次女を出産するが早世
1680	仁敬王后は天然痘で亡くなる。享年20歳
不詳	張禧嬪は荘烈大王大妃の針房内人として入宮する
	張禧嬪が粛宗の寵愛を受けるようになる
1680	張禧嬪が明聖王后により宮廷外に追放される
1681	仁顕王后が粛宗の王妃となる（15歳）
1684	粛宗の母の明聖王后が亡くなる
1686	張禧嬪が承恩尚宮として宮廷に戻る
1687	仁元王后が金柱臣の娘として生まれる
1688	張禧嬪が李昀（景宗）を生む
1689	張禧嬪が側室の最高位である嬪（正一品）に昇進する
	李昀は元子に冊封される
1689	己巳換局で西人派は一掃、仁顕王后が廃位となる
	張禧嬪が王妃になる
1694	甲戌換局で南人派を一掃、張禧嬪は嬪に格下する
	仁顕王后が復位する
1701	8月、仁顕王后は昌慶宮の景春殿で病死する。享年35歳
	11月、張禧嬪が粛宗からの賜薬により処刑される。享年43歳
1702	仁元王后が揀択で選ばれ、王妃に冊封される
1711	仁元王后は天然痘を患うが回復
1720	粛宗が亡くなり、景宗が即位する
	仁元王后は王大妃になる
1721	仁元王后が延礽君を養子にする
	景宗が延礽君を王世弟に冊封する
1724	景宗が亡くなり、延礽君が第21代王・英祖として即位する
	仁元王后は大王大妃になる
1757	仁元王后が宮殿・昌徳宮で亡くなる。享年71歳

 

トンイで王妃役を演じた女優

ドラマ「トンイ」で王妃を演じた３人の女優さんをご紹介します。

 

仁顕王后を演じたパク・ハソン

仁顕王后を演じた女優さんはパク・ハソンさんです。

パク・ハソンさんは高校時代に街でスカウトされて芸能界に入っています。

 

張禧嬪を演じたイ・ソヨン

張禧嬪を演じた女優さんはイ・ソヨンさんです。

イ・ソヨンさんは、2003年、演技を学んでいるときに、映画「スキャンダル」で芸能界デビューしています。

 

仁元王后を演じたオ・ヨンソ

仁元王后を演じた女優さんはオ・ヨンソさんです。

オ・ヨンソさんは、ガールズグループ・LUV（ラブ）でデビューしています。

しかし、グループはすぐに解散、その後は女優として活動を始めました。

 

まとめ

粛宗は朝鮮王朝の歴代王の中でも最も多くの王妃を迎えた王でした。

政争が激しい時代で粛宗は王妃さえも政争に利用しています。

特に、仁顕王后、張禧嬪、仁元王后の３人の王妃は、長い朝鮮王朝の中でも、最も政争に翻弄された王妃たちと言えるでしょう。