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トンイ(淑嬪崔氏)の家系図【実在したトンイのモデルに迫る】

トンイのモデルは粛宗の側室・淑嬪崔氏(スクピンチェシ)です。

史実の淑嬪崔氏はどんな女性だったのか。

家系図から詳しく調べてみました。

トンイの家系図

トンイ(淑嬪崔氏)は崔温を始祖とする海州崔氏一族の出身と言われています。

しかし、父親の崔孝元は海州崔氏一族の系図には記載されていません。

崔孝元の墓碑によるとトンイ(淑嬪崔氏)の家系図は次のとおりです。

<トンイ(淑嬪崔氏)の家系図>

父親は崔孝元で、母親は洪継南の娘の南陽洪氏です。

崔孝元は武官で宣略将軍行忠武衛の副司果(正四品/従六品)でしたが、死後、1734年に英祖から大匡輔国崇禄大夫 議政府領議政(正一品)に追贈されています。

父親がコムゲ(剣契)の首領というのは、もちろんドラマの創作です。

 

祖父は崔泰逸(チェ・テイル)、曽祖父は崔末貞(チェ・マルチョン)、高祖父は崔億之ですが、生前の官職は分かりません。

英祖の時代に祖父の崔泰逸と曾祖父の崔末貞には官職が追贈されています。

 

なお、崔孝元の墓標は当時、英祖からの信頼が厚かった西平君(李橈)が書いています。

西平君(李橈)は宣祖の庶子・仁城郡(李珙)のひ孫にあたる王族です。

 

トンイの兄弟姉妹

トンイ(淑嬪崔氏)は1男2女の次女として生まれています。

姉の崔氏は府使の徐專に嫁いでいます。兄の崔垕は萬戸を務め、安俊榮の娘の順興安氏を妻に迎えています。

ドラマにはでてきませんが、史実のトンイ(淑嬪崔氏)には姉がいました。

関係 名前 生年-没年 備考
崔氏 不詳
崔垕 1657-1731
本人 淑嬪崔氏 1670-1718 トンイ、粛宗の側室

 

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トンイはどんな人物だったのか?

ドラマ「トンイ」に登場するトンイとは真逆の性格だったようです。

 

実在したトンイの人柄

1725年に英祖が建立した「淑嬪崔氏神道碑銘」に淑嬪崔氏の人柄の記載があります。

嬪天姿沈凝簡默喜怒不形於色
(引用元:淑嬪崔氏神道碑銘より)

<訳>冷静で沈着、あまり喋らず。喜怒を顔に出すこともなく、謙虚で控えめだった

実在した淑嬪崔氏は、冷静で寡黙、あまり喜怒哀楽を顔に出さない人だったようです。

ドラマのトンイのイメージとは全く違いますね。

 

この石碑は英祖が建てた石碑なので、全くの嘘ではないと思います。

従って、実在した淑嬪崔氏の性格は、活発で社交的と言うよりは、控えめで大人しい性格だったと推測されます。

そのため、策略的な悪女と評される場合もあるようですが、正確なところは誰も分かっていません。

 

トンイのプロフィール

トンイ(淑嬪崔氏)の生まれに関する詳しい記録はありません。

<淑嬪崔氏のプロフィール>
生年:1670年11月6日
没年:1718年3月9日
氏族:海州崔氏
父:崔孝元
母:南陽洪氏(洪継南の娘)
陸墓:昭寧園

 

トンイの家族

トンイ(淑嬪崔氏)は粛宗との間に3人の男の子を生んでいます。

長男の永壽は赤ん坊のときに亡くなっていますが、実は3人目の男の子も幼くして亡くなっています。

ご存知のように、次男のクムが第21代王・英祖として即位しました。

関係 名前 生年-没年 備考
崔孝元 1638-1672
南陽洪氏 1639-1674 洪継南の娘
粛宗 1661-1720 第19代王
長男 永壽(ヨンス) 1693-1693 早世
次男 昑(クム) 1694-1776 第21代王・英祖
三男 不詳 1698-1698 早世

 

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トンイの生涯

史実のトンイ(淑嬪崔氏)の生涯をご紹介します。

 

両親の死

1670年、トンイ(淑嬪崔氏)は崔孝元と南陽洪氏の次女として生まれました。

その時、姉と13歳年上の兄がいました。

 

1672年、トンイ(淑嬪崔氏)が3歳のときに、父の崔孝元が亡くなります。

更に、2年後の1674年には母の洪氏が亡くなっています。

まだ、わずか5歳のときでした。

 

見習い女官として入宮

両親を亡くしたトンイ(淑嬪崔氏)を引き取ったのが、仁顕王后の父・閔維重(ミン・ユジュン)と言われています。

閔維重は、当時8歳だった仁顕王后とトンイ(淑嬪崔氏)を一緒に育てました。

 

そして、1676年、トンイ(淑嬪崔氏)が7歳のときに入宮させています。

当初、針房(チンバン)の見習い女官だったといいます。

針房は王室の服を仕立てる格の高い部署でした。

 

仁顕王后のお付きの女官になる

1680年、粛宗の王妃・仁敬王后が亡くなりました。

翌年の1681年、仁顕王后が継室として入宮しています。

この頃、トンイ(淑嬪崔氏)は仁顕王后のお付きの女官になったと思われます。

 

粛宗の寵愛を受ける

1689年5月、政争に巻き込まれ仁顕王后が廃位、翌年には張禧嬪が王妃になりました。

その3年後の1692年、トンイ(淑嬪崔氏)は粛宗の寵愛を受け、承恩尚宮となっています。

 

この経緯については、廃位となった仁顕王后の誕生日を一人祝っているトンイ(淑嬪崔氏)を粛宗が偶然見つけ、見初めたとの説もあります。

儒生李聞政の著書「隨聞録」に書かれている逸話です。

 

永壽(ヨンス)が生まれる

1693年4月に淑媛(従4品)となったトンイ(淑嬪崔氏)は、10月6日に最初の息子・永壽(ヨンス)を生んでいます。

しかし、永壽はわずか2ヶ月で亡くなってしまいました。

トンイ(淑嬪崔氏)の落胆ぶりはひどかったと思われます。

 

昑(クム)が生まれる

1694年4月、仁顕王后が復位すると、6月2日には淑儀(従2品)に昇格しました。

同年9月13日、には、後の第21代王・英祖になる昑(クム)が生まれています。

1695年6月、貴人(従一品)となりました。

 

3人目の男の子が生まれる

1698年7月7日、待望の3人目の男の子が生まれました。

しかし、生まれてたったの3日後に亡くなってしまいます。

1699年6月、昑(クム)に延礽君の称号が与えられ、トンイ(淑嬪崔氏)は淑嬪(正1品)となりました。

 

トンイ、王妃になれず

長い廃位生活の苦労が仁顕王后の死を早めました。

1701年8月14日、仁顕王后が亡くなっています。

享年49歳でした。

 

10月10日、禧嬪張氏が賜死となり、誰もが次の王妃はトンイ(淑嬪崔氏)と思われました。

しかし、粛宗は10月7日に側室が王妃になることを禁ずる法を定めています。

これにより、トンイ(淑嬪崔氏)の王妃の道は閉ざされてしまいました。

 

トンイの最後

1701年10月、トンイ(淑嬪崔氏)は住居を昌徳宮(チャンドックン)から梨峴宮(イヒョングン)に移しています。

そのため、梨峴宮は淑嬪房(スクビンバン)と呼ばれるようになりました。

 

1711年6月22日、トンイ(淑嬪崔氏)は梨峴宮から息子・延礽君(ヨニングン)の居所へ転居しました。

しばらく、延礽君と仲良く暮らしていましたが、1716年に急に病がちになります。

そして、1718年3月9日、トンイ(淑嬪崔氏)は息子の延礽君の私邸で亡くなりました。

享年49年でした。

 

トンイ(淑嬪崔氏)は現在、京畿道坡州市にある昭寧園(ソリョンウォン)静かに眠っています。

トンイが眠る昭寧園については>>トンイのお墓はどこにあるのか?【一人で眠る広大な昭寧園】をご覧ください。

 

トンイが祀られている七宮

淑嬪崔氏の位牌は、側室7人と一緒に七宮(毓祥宮)に納められています。

七宮(毓祥宮)は朝鮮と大韓帝国の王(追尊も含む)の実母でありながら、王妃になれなかった側室の位牌を祀って祭祀を行う祠堂です。

歴代王と王妃の位牌を祀る宗廟 (チョンミョ) には、側室の位牌を祀ることができなかったのです。

 

1725年、王になった英祖が母のために祠堂を建て、その名を「淑嬪廟」としたのが七宮の始まりです。

「淑嬪廟」は廟から宮へと昇格し「毓祥宮(ユッサングン)」と呼ばれるようになりました。

英祖は在位期間中に200回も訪問したという記録が残っています。

その後、散らばっていた祠堂が集められ、1929年に7つ目の徳安宮が移されて七宮と称されるようになりました。

<七宮(チルグン)>

宮名 王の生母 宮名の意味
毓祥宮 淑嬪崔氏 英祖 粛宗 縁起を育てる
延祜宮 靖嬪李氏 真宗* 英祖 福を迎える
儲慶宮 仁嬪金氏 元宗* 宣祖 慶事を集める
大嬪宮 禧嬪張氏 景宗 粛宗 玉山府大嬪
宣禧宮 暎嬪李氏 荘祖* 英祖 福を広める
景祐宮 綏妃朴氏 純祖 正祖 大福
徳安宮 皇貴妃厳氏 英親王 高宗 徳があり安らか

注1)禧嬪張氏の諡号は大嬪宮玉山府大嬪です。真宗、元宗、荘祖は死後、王に追尊されています。

 

まとめ

トンイ(淑嬪崔氏)の幼い頃の記録はほとんどありませんが、幼くして両親を失い、見習い女官として入宮したことは間違いないようです。

粛宗との出会いも諸説あるようですが、ドラマのような出会いではありませんでした。

 

しかし、粛宗の寵愛を受け、承恩尚宮となってからは、張禧嬪の執拗ないじめにあっていた言われています。

張禧嬪のいじめに耐えたトンイ(淑嬪崔氏)でしたが、粛宗が側室は王妃になれない法を定めます。

そのため、トンイ(淑嬪崔氏)が王妃になる道は閉ざされてしまいました。

 

トンイ(淑嬪崔氏)が王妃になる意欲があったのか?

今となっては知るすべがありません。

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