トンイに登場する王妃の衣装はどれも豪華で色鮮やかです。
この記事では、王妃の象徴である衣装やかんざし、そして、ドラマ制作の舞台裏や衣装の変遷まで詳しく解説します。
トンイの王妃の衣装の特徴
王妃の衣装も両班の女性が着用するチマチョゴリが基本です。
上に着ている上着がチョゴリで、下の履いている巻きスカートがチマです。この2つを合わせて、チマチョゴリと呼びます。王妃や側室が宮殿外で過ごす際にはこのスタイルです。
<チョゴリとチマ>
宮殿内では、上に唐衣(タンイ)という礼装用上着を着用します。唐衣は女性の礼装の一つですが、宮殿では平服として着ています。尚宮以上の女性が唐衣を着ていますが、王妃、側室の唐衣は豪華絢爛です。
<豪華な唐衣とチマのトンイ>
チマも一般的なものよりもヒダが多くボリュームがあり、裾には箔による豪華な装飾が施されています。
特に王妃は唐衣の胸元と肩に金色に光る豪華な龍の刺繍をほどこした補(ポ)と呼ばれる証を付けています。王妃だけが着ることができる唐衣です。
<王妃の衣装>
トンイは王妃になれなかったので、この唐衣を着ることはできませんでした。
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王妃が付けているかんざしは飾り部分に龍を彫刻した龍簪(ヨンジャム)です。龍は権威と威厳の象徴で、王妃と大妃のみが付けることを許されました。
<龍のかみかざりの王妃>
側室のトンイは鳳凰を彫刻した鳳簪(ポンジャム)と呼ばれるかんざしを付けていました。
かんざしはピニョと呼ばれ、庶民の婦人もピニョを使いましたが、木・角・骨などの材質で、飾りの部分はシンプルなものを使いました。
また、王妃が頭にのせている髪飾りはチョッチと呼ばれるものです。大妃や王妃は龍チョッチや鳳凰チョッチを使い、側室はカエルのチョッチを使いました。
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トンイに登場した3人の王妃は、いずれも豪華な刺繍入り唐衣とボリュームあるチマを着用。髪には龍のかんざしが象徴として付けられています。
イニョン王妃の衣装は優しい性格を表現した淡い色が多く用いられました。
<イニョン王妃の衣装>
張禧嬪の衣装は情熱的で時に激しい気性を表現するために、あまり女性の衣装には使用されない黒や濃い紫色も採用されました。
<張禧嬪の衣装>
終盤に登場したイヌォン王妃は気の強さを表現するためか、濃い青色の唐衣が採用されました。唐衣の袖と裾の箔の模様がものすごく豪華で、王妃の印である肩と胸の龍の刺繍の補がとっても映えます。
<イヌォン王妃の衣装>
ドラマの衣装と髪型の特徴
ドラマ「トンイ」の王妃や側室の衣装や髪型は、イ・ビョンフン監督が時代考証に反して採用したもので、若者層にも受ける美しく映えるデザインが意図されています。
当時の衣装はドラマほど色鮮で豪華なものではありませんでしたが、特に美しく見える色の衣装を選んだとされます。
また、当時の髪型「オンジュンモリ」は古臭く負担が大きいため、ドラマでは「チョクチンモリ」を採用。髪をうなじで束ね、リボンやピニョで固定する現代的なスタイルとしました。
<チャングムだ採用されたオンジュンモリ>
トンイで採用されたのは現代的な「チョクチンモリ」でした。
<トンイで採用されたチョクチンモリ>
トンイの衣装の変遷
トンイの衣装を承恩尚宮(スンウンサングン)の時代から淑嬪の時代までご紹介します。
承恩尚宮の衣装
爽やかな水色の唐衣と銀の玉飾りピニョが特徴で初々しさを表現しています。
淑媛になったトンイの衣装
淑媛(スグォン)になったトンイの唐衣は淡いピンク色で袖の銀箔の模様が豪華です。かんざしも鳳凰をモチーフにした一段と格式の高いピニョになっています。
宮廷復帰時の衣装
トンイがクムを連れて宮廷に戻ってきたころの衣装です。唐衣は濃い真紅色になり、落ち着いた母としての威厳が感じられます。襟の模様はより豪華です。
淑儀になったトンイの衣装
淑儀(スグィ)になったトンイの衣装は赤色から青色に変わります。
淑嬪になったトンイの衣装
淑嬪(スクピン)になった頃の衣装は、また、唐衣は赤色を基調にしたものに戻ります。当然、王妃の印である補はついていませんが、肩からの模様に金色の蝶が色鮮やかに散りばめられています。金色が豪華に使われているのが、嬪になってからの唐衣の特徴です。
終盤の58話から、衣装もさらに豪華になります。
トンイの衣装の変遷のまとめ
ドラマにおけるトンイの衣装はトンイの成長に合わせて次のように変えています。
時代 | 唐衣の色 | 特徴 |
承恩尚宮 | 爽やかな水色 | 初々しさを表現 |
淑媛/スグォン | 淡いピンク色 | 刺繍が豪華、格式の高いピニョ |
宮廷復帰時 | 濃い真紅色 | 母としての威厳を感じる |
淑儀/スグィ | 青色 | 全体的に豪華な刺繍 |
淑嬪/スクピン | 赤色を基調 | 王妃の補に相当する金色の蝶の模様 |
まとめ
トンイに登場する王妃の衣装は豪華な唐衣、刺繍入りの補、かんざしが特徴です。唐衣の龍の刺繍とかんざしの龍の彫り物が王妃であることの証でした。
しかし、ドラマのカラフルな色彩の衣装や現代的な髪型は時代考証にとらわれず、ドラマ映えを重視して制作されたものでした。これは全て時代劇をより楽しく、多くの人に観てもらうための工夫だったのです。