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韓国ドラマ「恋人」の実話【史実とドラマの違いを徹底解説】

大ヒットした韓国ドラマ「恋人」の背景には、実際に起こった後金の侵略(丙子胡乱)による王族や民衆の数々の苦難が隠されています。

この記事では、

ドラマ「恋人」の実話(史実)
実在した登場人物
史実とドラマの違い

をわかりやすくまとめています。

恋人の実話

1636年12月、国号を清と定めた後金はあっという間に漢城を侵略、逃げ遅れた仁祖は南漢山城に立てこもりました。

物語は後金の朝鮮侵略(丙子胡乱)から始まっています。

翌年1月、遂に、朝鮮は降伏、仁祖は城を出てホンタイジに対して、謝罪と臣属の意味である屈辱的な三跪九叩頭の礼(9回の土下座)を行い許しを請いました。

戦争は終結しましたが、朝鮮は莫大な貢物と仁祖の息子を人質として差し出すことを余儀なくされます。

苦境にあった昭顕世子ですが、清との外交役を担い、高官たち親交を深めて、両国の架け橋となっていきます。

しかし、清を憎む仁祖にとって、そんな世子の姿は裏切りのようにしか見えませんでした。

1644年、昭顕世子は帰国しますが、仁祖は彼に冷淡な態度を取り、わずか2ヶ月後、世子は不可解な死を遂げることとなります。

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恋人の時代背景

国家の根底には、朝鮮建国時より社会の秩序や道徳、政治制度を支配する儒教の教えがありました。

国政は士大夫(支配階級である官僚・学者)によって動かされ、野蛮な後金への降伏は「儒教道徳に反する屈辱と考えられました。

また、両班は裕福な生活を送る一方で、庶民は重税や飢えに耐える生活を強いられ、生活格差は増々広がっていました。

その結果、両班の子弟が書堂で漢字や儒教の基本を学ぶ一方、庶民にとって子どもの教育は考えも及ばないものでした。

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実在した登場人物

ドラマ恋人には、実在をモデルにした人物が登場しています。

朝鮮王の仁祖(インジョ)とその息子・昭顕世子(ソヒョンセジャ)、そして朝廷の重臣らの動向は、史実とかなりリンクしています。

役名 実在のモデル 備考
仁祖 仁祖 第16代王
昭顕世子 昭顕世子 仁祖の息子
カン嬪 愍懐嬪姜氏 世子嬪
チェ・ミョンギル 崔鳴吉 重臣、清との和平派
キム・サンホン 金尚憲 重臣、清への強硬派
キム・リュ 金瑬 重臣
チョ氏 貴人趙氏 仁祖の側室
ホンタイジ ホンタイジ 後金(清)の皇帝
ヨンゴルテ イングルダイ 後金の将軍

史実とドラマの3つの違い

史実とドラマでは大きく次の3点が違います。

・恋愛要素の脚色
・仁祖の描写
・昭顕世子の死因

恋愛要素の脚色

ドラマでは謎の男イ・ジャンヒョンと良家のお嬢様ユ・ギルチェのロマンスが中心ですが、史実にそのような記録はありません。

脚本家ファン・ジニョンは悲劇的な状況に投げ出された人々の物語を書くにあたって、歴史的な大ヒット映画「風と共に去りぬ」をモチーフにしたことを明らかにしています。

仁祖の描写

ドラマではやや人間味のある描写もありますが、史実では「優柔不断で猜疑心の強い君主」とされています。

昭顕世子の死因

ドラマでは死因について明確な描写はありませんが、史実では「父・仁祖による毒殺説」もあり、真相は謎のままです。

仁祖の人物像【優柔不断と猜疑心】

仁祖は光海君により父親も兄弟も失いどん底の人生を送っています。

冷酷で、良心や共感性の欠如した猜疑心の強い性格はこのことが大きく影響していると考えられます。

反光海君勢力に担がれ王になった仁祖です。王としての教育をまともに受けた記録はありません。

従って、仁祖に高い判断力や行動力、そして、論理的な考えに基づいた意思決定を期待するには無理があったと考えられます。

判断力に欠け、臣下に意思決定を委ねる仁祖は後世に優柔不断な王と刻印を押されることになります。

仁祖について詳しくは>>仁祖の家系図【朝鮮最悪の屈辱と疑心暗鬼の生涯】をご覧ください。

王に逆恨みされた昭顕世子の最後

仁祖の息子である昭顕世子は、12歳のときに父親が王になると、14歳には世子に冊封されました。

従って、王としての教育を受け、王としての自覚もあったと考えられます。

実際、人質になってからの昭顕世子は苦境にあったにも関わらず、敵対する清の政治、文化、経済を優れたものと考え、積極的に学び、習得することに務めました。

それは、明らかに将来の国を思ってのことでした。

しかし、こうした清を崇拝する世子の態度が仁祖には気に入らなかったようです。

世子の死には猜疑心の強い仁祖による毒殺説や側室による陰謀説がありますが、今なお真相は明らかになっていません。

昭顕世子について詳しくは>>昭顕世子(ソヒョンセジャ)の家系図【謎の不可解な死因】をご覧ください。

朝鮮を服従させた後金とは

後金は元に滅ぼされた国「金」に住んでいた女真族をヌルハチが再び統一して作った国です。

先祖が作った金の後の国と言う意味で「後金」という国名になりました。

ドラマ恋人で朝鮮に侵攻したホンタイジはヌルハチの跡を継いだ息子でした。

ホンタイジは国名を「清」に変え、女真族は女のように弱いを意味する軽蔑された言葉だったので、満州族と名乗ることにしました。

清は1912年まで続き、中国本土とモンゴル高原を支配する巨大帝国となりました。

後金について更に詳しくは>>韓国ドラマに登場する後金とは【本当に野蛮な民族なのか?】で紹介しています。

ドラマ恋人の基本情報

ドラマ恋人は韓国全土で平均視聴率9.67%、最高視聴率12.9%を記録した大ヒットドラマです。

2023 MBC演技大賞でナムグン・ミンが大賞を受賞するなど8冠を獲得しています。

<ドラマ情報>
タイトル:恋人~あの日聞いた花の咲く音
話数:21話
放送年:2023年
放送局:MBC
脚本家:ファン・ジニョン
演出:キム・ソンヨン、チョン・スジン
主演:ナムグン・ミン、アン・ウンジン

まとめ

韓国ドラマ「恋人」は、ただのラブストーリーではありません。

背景にあるのは、他国の侵略による国の絶望的な危機と、それに翻弄される王族や朝廷、そして民衆の姿です。

丙子胡乱という激動の時代を背景に、物語は歴史の裏に隠れた人間のドラマを描いています。

登場人物の多くが実在の人物であり、リアルな彼らの行動や葛藤は、過去の出来事に思いを馳せ、平和の尊さを改めて感じさせてくれます。

史実を知ることで、ドラマの描写をより深く、そして切実に感じることができるでしょう。

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