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仁祖の家系図【朝鮮最悪の屈辱と疑心暗鬼の生涯】

多くのドラマに登場する仁祖は王位からは程遠い王族でした。

屈辱と疑心暗鬼の生涯を送った仁祖とはどんな人物だったのか。

仁祖の家系図から詳しく調べてみました。

 

仁祖の家系図

仁祖は第14代王・宣祖の側室の三男の息子であり、王位からは遠い存在でした。

しかし、1623年に第15代王・光海君に対するクーデター(仁祖反正)により、第16代王となりました。

<仁祖の家系図>

仁祖の弟である綾昌君は大変優秀な人物で王の器とまで言われていました。

そのため、光海君から警戒され、綾昌君は謀反の罪を着せられて流刑となり自決しています。

 

これを知った父親はショックで亡くなります。

こうした家族に対する悲劇が、仁祖を光海君廃位の反逆に加担させた大きな理由でした。

 

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仁祖はどんな王だったのか?

仁祖は喋ることは苦手で本を読むことが好きな子供でした。

祖父の国王宣祖からは大変寵愛を受けたと言われています。

 

仁祖プロフィール

第16代王
廟号 :仁祖(インジョ)
姓・諱:李倧(イ・ジョン)
生年:1595年11月7日
没年:1649年5月8日
在位:1623年4月12日-1649年6月17日
父:定遠君(元宗)
母:仁献王后具氏
后妃:仁烈王后
   荘烈王后
陵墓:長陵

 

父親の定速君

仁祖の父親・定速君は、容姿に優れ、優しい性格で宣祖から大変可愛がられたと墓碑には書かれていますが、実際は酒好きで、暴力的だったと言われています。

光海君が王位に就くと、定速君は光海君から睨まれないように静かに暮らしていました。

 

しかし、三男の綾昌君は優秀で王の器と言われるほど目立った存在になります。

その結果、光海君に謀反の罪を着せられ流刑となり、流刑地で自決しています。

 

これを知った定速君は、ショックで心を病み、亡くなります。

自害したとも言われています。

 

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仁祖の生涯

仁祖が即位してからの生涯は、国外からの侵略による降伏で屈辱に満ちたものでした。

 

後金の侵略(丁卯胡乱と丙子の乱)

仁祖は即位してから、後金(後の清)の侵略を何度も受けています。

1627年、後金が3万の軍隊で怒涛のごとく朝鮮に侵攻してきました。

これを聞いた仁祖と大臣たちは、恐怖におののき江華島に逃げ込んでいます。

 

朝鮮側は和議に応じて盟約を結び、侵略を何とか拒みました。

名目上、「後金と朝鮮は兄弟の関係」となったのです。

この後金が朝鮮侵攻を丁卯胡乱(チョンミョホラン)と呼んでいます。

 

その後、1636年の後金が清と国号を定めたとき、和議を結んだ朝鮮に兄弟関係を破棄して、君臣の関係を迫りました。

朝鮮を清の配下にしようとしたのです。

しかし、仁祖はこれをはねつけます。

 

1636年12月29日、これに怒ったホンタイジは10万の兵を率いて、朝鮮に攻め込みまました。

そして、あっという間に漢城(ソウル)を侵略してしまいます。

丙子胡乱(ピョンジャホラン)です。

 

朝鮮の降伏と屈辱の三跪九叩頭の礼

清の侵攻の速さに、朝鮮は為す術もなく、仁祖は降伏せざるを得なくなりました。

1637年1月30日、仁祖は漢江南岸の三田渡に出向き、ホンタイジに対して屈辱的な三跪九叩頭の礼を行いました。

 

三跪九叩頭の礼とは、清の皇帝の前で臣下が行う服従と尊敬を表す礼です。

跪(ひざまず)いて、手を地面につけ、額を3回地面に打ち付けます。

これを3回行いました。

仁祖にとっては、合計9回も額を地面に打ち付ける屈辱的な行為でした。

 

昭顕世子との対立

清に降伏した仁祖は、清の臣下となり、多くの貢物を毎年要求されました。

また、仁祖の息子3人を人質として清に送ることを要求されています。

このことは、ホンタイジが仁祖に下した詔諭(韓国国立図書館に保存)に記載されています。

詔勅(しょうちょく): 国の主権者が命令を伝える公文書

 

長男である昭顕世子は8年間に渡り、清での人質生活を送っています。

昭顕世子は清と朝鮮の窓口となり交渉に努めました。

また、清の高官と親交を結び、清との友好関係の構築に努め成果を上げていました。

 

しかし、これが清に恨みを持つ仁祖には面白くありませんでした。

更に、「清が自分を廃位して、昭顕世子を擁立するのでは」という恐怖心も増していきました。

 

1644年、昭顕世子が解放され朝鮮に帰国しますが、仁祖は昭顕世子に冷たく接します。

そして、なんと昭顕世子は帰国後、2ヶ月で亡くなってしまいました。

真相は明らかではありませんが、仁祖に対する疑念は今でも残ったままです。

 

側室の貴人趙氏は最悪の悪女

仁祖の側室・貴人趙氏(ペクイン チョシ)は酷い悪女として知られています。

しかし、貴人趙氏の生い立ちについては、詳しいことは分かっていません。

 

分かっているのは、父親の名前は趙琦で、貴人趙氏は趙琦と側室の間に生まれ、1630年頃に女官となった程度です。

仁祖の正室・仁烈王后の親族の後ろ盾で女官になったとも言われています。

 

貴人趙氏は王・仁祖の寵愛をいいことに、気に食わない人には王の前でも暴言を吐いて貶めるなど酷いものでした。

そして、清に心酔した昭顕世子の夫婦を嫌い、昭顕世子を殺した疑いももたれています。

更に、昭顕世子の妻の姜氏(カンシ)は仁祖を毒殺しようとした嫌疑をかけられて死罪になりますが、これも、裏で貴人趙氏が動いていたのではないかと言われています。

 

また、1635年に仁烈王后が亡くなって、3年後に継室として入宮したのが荘烈王后(チャンニョルワンフ)でした。

しかし、仁祖は貴人趙氏を寵愛していたため、14歳の荘烈王后を王妃として接しなかったようです。

 

仁烈王后が亡くなってからの貴人趙氏はやりたい放題で、荘烈王后にも酷い嫌がらせをしたといいます。

しかし、後ろ盾の仁祖が死ぬと立場は逆転します。

 

何かときな臭い噂が多かった貴人趙氏ですが、最後は荘烈王后による告発により自害させられました。

貴人趙氏が第17代国王・孝宗や自分を呪詛していると訴えたのです。

貴人趙氏に仕える女官が拷問の末に自白したため、貴人趙氏は死罪となりました。

仁祖が亡くなった1649年から3年後の1651年のことです。

 

ドラマ「華政」で貞明公主(チョンミョンコンジュ)と敵対する昭容チョ氏は貴人に昇格する前の貴人趙氏のことです。

ドラマ「馬医」にも 昭容(ソヨン)チョ氏として登場しています。

 

仁祖が登場するドラマ

仁祖は多くのドラマに登場しています。

<仁祖が登場するドラマ>
宮廷女官キム尚宮(1995年、パク・ジンヒョン)
王の女(2003年、アン・ホンジン)
イルジメ〜一枝梅(2008年、キム・チャンワン)
必殺! 最強チル(2008年、チェ・ジョンウ)
推奴(2010年、キム・ガプス)
馬医(2012年、ソヌ・ジェドク)
花たちの戦い -宮廷残酷史-(2014年、イ・ドックァ)
三銃士(2014年、キム・ミョンス)
華政(2015年、キム・ジェウォン)
ノクドゥ伝(2019年、カン・テオ)
ポッサム〜愛と運命を盗んだ男〜(2021年、イ・ミンジェ)

( )内の名前は仁祖を演じた俳優

 

まとめ

仁祖は光海君を廃位にしたクーデターによって、祭り上げられた王でした。

従って、王として自立した志を持つことができず、臣下や側室に踊らされた王だったのでしょう。

仁祖の生涯は屈辱と疑心暗鬼に満ちた生涯だった考えざるを得ません。

 

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