イ・サン最終回の王子は純祖！なぜ綏嬪朴氏の子が選ばれた？

ドラマ「イ・サン」の最終回、静かな宮中に登場する王子は、イ・サンの次の王である第23代王・純祖です。この王子は誰の子なのか？疑問に思った方も多いかもしれません。

この記事では、なぜ綏嬪朴氏の子である純祖が跡継ぎとなったのか。純祖誕生の背景、王位継承の実情を史実を基に、詳しく解説します。

最終回の王子・純祖の母・綏嬪朴氏とは？

純祖の実母は綏嬪朴氏（スビン パクシ）、正祖（イ・サン）の4番目の側室でした。ドラマでは登場しませんでしたが、1790年に純祖を生んでいます。

＜正祖の4人の側室＞

注：側室年は側室になった年です。

正室の孝懿王后には子がなく、他の側室たちも男子に恵まれませんでした。そこで、貞純大妃が選んだ女性が綏嬪朴氏でした。

和嬪尹氏の想像妊娠と綏嬪朴氏の選出

綏嬪朴氏が選ばれる前、側室となっていたのは和嬪尹氏でした。

和嬪尹氏は懐妊したのか？史料に見る想像妊娠の疑惑

実録によると、和嬪尹氏は懐妊の兆候があり産室庁も設けられましたが、出産の記録はありません。想像妊娠と推測されています。

また、女児を産んだが早世したとの説もあり、ドラマではこちらが採用されました。

なぜ綏嬪朴氏が次の側室に選ばれたのか

また、男子を産んだ宜嬪成氏への嫉妬心から取り乱したとの記録もあり、王子誕生への期待が薄れたため、新たに綏嬪朴氏が側室に迎えられました。

この人選には貞純王后の意向が大きく関わっていたとされ、綏嬪朴氏の温厚な性格と実家の勢力に着目した結果と考えられます。

そして1790年、ついに正祖の待望の男子・純祖が誕生します。

綏嬪朴氏の人物像と一族の台頭

綏嬪朴氏は性格が温厚で控えめだったと言われています。そのため、王の生母ですが、宮廷でも目立つ存在ではありませんでした。

実際、義理の祖母の貞純王后、姑の恵慶宮、正室の孝懿王后に対しても礼を尽くして、密やかに暮らしたといいます。

しかし、純祖が即位すると、その実家である朴氏一族は高官に登用され、次第に勢力を拡大していきました。その背後には、垂簾聴政を行った貞純王后による後押しがありました。

純祖の即位と「お飾りの王」としての運命

純祖は1800年、わずか11歳で即位します。そのため、当初は曽祖母・貞純王后が、後には王妃の父・金祖淳（安東金氏一族）が政治を主導しました。

1827年、純祖は息子の孝明世子に代理聴政を任せ、豊壌趙氏の勢力拡大を図りました。

しかし、1830年に世子が急死。再び安東金氏が台頭し、純祖は最後まで政治の実権を握れぬまま生涯を終えました。

純祖の家系図｜正祖の血筋の断絶

当サイト「雲の上はいつも晴れ」が独自に作成した家系図

＜純祖の家系図＞

純宗の息子の孝明世子は22歳で亡くなり、息子の憲宗が王位を継ぎますが、子供はいませんでした。イ・サン（正祖）の血筋は憲宗で途絶えてしまいます。

＜純祖の家族＞

純祖について深く知りたい方はこちら
＞＞純祖の家系図【偉大な名君・正祖を継いだ悲劇の王】

純祖の簡易年表｜誕生から即位、そして逝去まで

純祖の誕生から逝去までの足跡は次のとおりです。

まとめ

イ・サンの最終回に登場した王子は第23代国王の純祖でした。

純祖の実母は、正室・孝懿王后や他の側室に男子がいない中、貞純大妃によって選ばれたのが綏嬪朴氏です。彼女は控えめな女性でしたが、王子・純祖の誕生は、後の宮廷の勢力図を大きく変える転換点となりました。

純祖は、偉大な父・イ・サンの後を継ぎながらも、その理想を継承することなく、波乱と制約に満ちた治世を終えています。