仁宣王后の家系図【清での人質生活を支えた王妃の素顔】

仁宣王后は孝宗とともに清で8年間の人質生活を送りましたが、孝宗とは2男8女の子供をもうけるなど仲睦まじい夫婦でした。

この記事では、仁宣王后の家系図から、人物像、家族、そして波乱の人生に迫ります。

仁宣王后の家系図

仁宣王后は張舜龍を始祖とする名門・德水張氏一族の出身です。父親の張維は仁祖のもとで右議政を努めた文臣でした。

当サイト「雲の上はいつも晴れ」が独自に作成した家系図

＜仁宣王后の家系図＞

仁宣王后はどんな王妃だったのか？

実録などの史料には、仁宣王后の性格や気性などに関する記録はみあたりません。しかし、後世の伝承では、彼女は夫の孝宗の北伐の夢に協力し、軍備拡張の費用捻出のため質素倹約に励んだといいます。

また、内命婦の長として夫が北伐計画に専念できるよう内命婦を統率して規律を正したとされています。

仁宣王后の家族

孝宗と仁宣王后の間には2男8女の子どもが生まれましたが、公主たちは名家に嫁ぎ、王室の血統を広げました。

四女の淑徽公主（スッキコンジュ）はドラマ「馬医」に登場する可愛い型破りな王女です。

詳しくは＞＞馬医のスッキ王女（淑徽公主）は死ぬのか？【実在も痘瘡で危篤？】

これだけ多くの娘がいながら、孝宗と仁宣王后は養女を迎えています。

それには、深い理由がありました＞＞孝宗の養女となった義順公主の悲しい生涯

人質として清で過ごした8年

仁宣王后は1631年、13歳で鳳林大君（後の孝宗）と結婚しました。ところが1636年に丙子の乱が起こり、清が朝鮮へ侵攻。仁祖が降伏し、翌年、王子たちが人質として清へ送られることになります。

鳳林大君とともに瀋陽に送られた仁宣王后は、そこで8年間の人質生活を送りました。その間に、三女の淑明公主（1640年）と四女の淑徽公主（1642年）そして、後の第18代王になる顕宗（1641年）が生まれています。

顕宗は、異国の地で生まれた朝鮮唯一の国王でした。

世子嬪から王妃、そして王大妃へ

1645年、清が明を滅ぼしたことで人質は不要となり、2月に昭顕世子と愍懐嬪が帰国しました。しかし、わずか2ヶ月後の4月、昭顕世子が突然の死を遂げます。

この事態を受けて、清に残っていた鳳林大君と仁宣王后も急ぎ帰国し、6月には仁祖の命令で鳳林大君が世子となり、仁宣王后も世子嬪となりました。

その後、淑静公主と淑敬公主を出産。1649年には仁祖の崩御により夫が即位し、仁宣王后は王妃となります。

1659年に孝宗が逝去すると、息子の顕宗が即位。彼女は王大妃となり、顕宗を支えています。1674年、55歳でその生涯を終え、孝宗のもとに埋葬されました。

まとめ

仁宣王后は不幸にも、若くして清での8年間の人質生活を経験しました。それでも孝宗との絆は深く、2男8女に恵まれ、孝宗から大事にされた王妃でした。

帰国後は世子嬪、王妃、王大妃として内命婦（宮中の女性の組織）を守り、息子・顕宗の代まで王室の中心にあり続けた存在です。

表舞台で華やかな功績を残すことはありませんでしたが、王室の土台を支えた気品と責任感あふれる王妃でした。