トンイに登場するイヌォン王妃(仁元王后)は実在した王妃です。
そして、彼女こそ名君・英祖(クム)の育ての親でした。彼女が果たした役割を、史実とドラマの両面から解説します。
イヌォン王妃は実在した人物
<トンイに登場するイヌォン王妃>
イヌォン王妃は、実在した粛宗(スクチョン)の三番目の王妃です。
張禧嬪を王妃にして後悔した粛宗は、側室から正室への昇格を禁止して、イヌォン王妃を新しい王妃に迎えました。
彼女は粛宗の死後、大妃として政治的にも大きな影響力を持ち、彼女がいなければ、英祖の即位はなかったかもしれません。
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史実のイヌォン王妃は結婚したとき15歳でしたが、生涯子供を生むことはありませんでした。
代わりに、淑嬪崔氏の息子・延礽君(ヨニングン)を養子にしています。
粛宗の死後も大妃として権力を持ったイヌォン王妃は、立場の弱い延礽君を派閥から守り、英祖の即位を後押ししました。英祖は生涯、その恩を忘れず、親孝行をしたといいます。
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イヌォン王妃は、揀択(カンテク)により粛宗の正室に選ばれた聡明な女性でした。
1702年に王妃として入廷したときには、まだ15歳で、8歳の延礽君(クム)にとっては、姉のような存在だったと考えられます。
仁元王后(イヌォンワンフ)
生年:1687年11月3日
没年:1757年5月13日
父親:金柱臣(キム・ジュシン)
母親 :嘉林府夫人
イヌォン王妃の父親である金柱臣は、当初少論派の重臣(世子支援)でしたが、後に老論派(延礽君支援)に転向しました。
彼女は政治的には中立を保ちながら、延礽君が不当な扱いを受けないよう尽力したといいます。彼女は当時としては長寿の70歳まで生きています。
ヘチ王座への道でのイヌォン大妃
ドラマ「ヘチ王座への道」では、イヌォン王妃は粛宗の亡き後、大妃として延礽君(クム)を王に導く姿が描かれています。
<ヘチ王座への道でのイヌォン大妃>
物語の中では、彼女がイ・グム(延礽君)の才覚を見抜き、時には盾となって守る姿が印象的でした。
史実でも、彼女が延礽君の王世弟擁立に深く関わったことは記録に残っています。
子供ができないイヌォン王妃にとって延礽君を守ることが、自分が大妃として権力を保つ唯一の道だったのかもしれません。
トンイはなぜ、王妃になれなかったのか?
粛宗の正室・仁顕王后が亡くなると、トンイが王妃になるのではという声が多くありました。
しかし、粛宗は、側室から王妃への昇格を禁止して、新たにイヌォン王妃を迎えます。
その背景にはいくつかの説があります。
・トンイの身分が低すぎた
・粛宗の愛情が薄れた
・トンイが自ら辞退した
・トンイの悪女説
特に注目されるのは、粛宗が晩年に別の側室・榠嬪朴氏を溺愛し、トンイへの関心が薄れていたという事実です。
また、トンイが張禧嬪を排除するために、呪詛の件を粛宗に密告すると、粛宗はこれをトンイの策略と考え、逆に、彼女への警戒感を強めた可能性も否定できません。トンイ悪女説です。
詳しくはこちら>>トンイは実話か創作か?【実は粛宗の最愛の人ではなかった】
史実とドラマの違い|トンイ vs イヌォン王妃
ドラマでは、対立的な関係として描かれていますが、史実のトンイとイヌォン王妃は仲が良かったといいます。
入宮したとき、イヌォン王妃は15歳、トンイは33歳、母と娘のような関係だったと考えられます。
二人の関係が良好だったことは、後に、英祖がイヌォン王妃を大切にしたことからも間違いないでしょう。
史実の イヌォン王妃についてはこちら>>仁元王后の家系図【延礽君(英祖)を救った王妃とは】
イヌォン王妃を演じたオ・ヨンソ
トンイでイヌォン王妃を演じたのは、女優のオ・ヨンソさんです。
生年月日:1987年06月22日
(2025年06月27日現在、38歳)
出生地:韓国・慶尚南道 晋州市
身長:170cm
血液型:O型
学 歴:東国大学演劇映像学科
デビュー:2002年、ガールズグループLUV
オ・ヨンソさんは長い下積み時代の経て、2014年にドラマ「私はチャンボリ」が大ヒット、国民的な大女優となります。
日本では、2015年の「輝くか、狂うか」のシンユル役、2017年の「猟奇的な彼女」のヘミョン王女役で知られています。
「トンイ」での彼女の登場は、終盤の6話のみですが、最大の山場である最後の大逆転劇で重要な役割を演じ、イ・ビョンフン監督の期待に充分応えました。
近状はインスタで>>オ・ヨンソさんのインスタはこちら
まとめ
イヌォン王妃は、トンイとクム(英祖)の人生に深く関わった重要な存在です。
彼女はクムを養子として少論派から守り、王に即位させたことは史実でも高く評価されています。
英祖もこの恩を忘れることはなく、生涯、彼女を大事にしたといいます。「トンイ」や「ヘチ」を通じて、ぜひ彼女の真の姿に触れてみてください。