イ・ビョンフン監督のおすすめ作品をランキングでご紹介します。
イ・ビョンフン監督は韓国時代劇をポピュラーな存在にした韓国時代劇の巨匠です。
多くの人が韓国時代劇にハマりました。
私もその一人です。
1位:トンイ
2位:イ・サン
3位:宮廷女官チャングムの誓い
4位:馬医
5位:オクニョ
6位:ホジュン~宮廷医官への道~
順に説明していきますね。
おすすめの一番はトンイ(1位)
話数:60話
平均視聴率:24.5%
最高視聴率:33.1%
監督:イ・ビョンフン
脚本:キム・イヨン
出演:ハン・ヒョジュ、チ・ジニ、イ・ソヨン
概要:日本でも大人気のドラマ。粛宗に見初められ、賤民から側室のトップに上り詰めた淑嬪崔氏をモデルにした波乱万丈の物語
なんと言ってもイ・ビョンフン監督作品のおすすめの一番は間違いなくトンイです。
トンイは日本でも一番人気の韓国時代劇です。
トンイ役のハン・ヒョジュさんもこのトンイで一躍日本での知名度も上がりました。
イ・ビョンフン監督作品の中でも、トンイは私がもっとも気に入っている作品です。
韓国を代表する女優ハン・ヒョジュさんも最初は演技力不足?
ハン・ヒョジュさんは最下位層の賤民から王の側室の最上位までをまさに演じきりました。
最初の頃は、危なげな演技も次第に上手になり、最後は母として王の相談相手として貫禄ある演技をしています。
私は意外と最初のころの初々しい演技が好きです^^
トンイを撮り始めたときは、イ・ビョンホン監督もハン・ヒョジュさんの演技には不安があったようで、かなり演技指導をしました。
なんと、撮影の2ヶ月前から、監督直々に演技指導をしたそうです。
その方法は、監督がこれまでに撮影したドラマのシーンから抜粋したセリフを次々と演じる練習だったと言います。
あるときはチャングム、あるときはイ・サンのソンヨン、あるときは賤民と。。。
かなり、ハン・ヒョジュさんも辛い練習だったと言いますが、おかげで撮影になったときに、役に入るまでの時間が驚くほど短くなったそうです。
トンイの大成功はなんといってもハン・ヒョジュさんの功績が大きいと思います。
ハン・ヒョジュさんは、このドラマで多くの賞を受賞して今や韓国の大女優になています。
トンイの見どころは監督と脚本家の衝突が生んだ名シーン
トンイはイ・ビョンフン監督と脚本家キム・イヨンのコンビによる作品です。
このコンビによる作品はイ・サンに続き2作目になります。
実は、監督からの要求は厳しくて、二人は何度も衝突したようです。
そして、何度も脚本を書き直した末に多くの名シーンが生まれました。
トンイと粛宗が初めて出会うシーン
その一つが第6話のトンイと粛宗が初めて出会うシーンです。
イ・ビョンフン監督からもっと話を軽くして欲しいとの要望から、思い切ってコミカルにしたそうです。
監督はこの脚本をものの見事に名シーンに仕上げました。
そして、王様と知らないトンイがぞんざいな口をきいて、とうとう王様の背中に乗ってしまうという、一度見たら忘れられないシーンが生まれます。
私もこのシーンは大好きです。
イ・サンとトンイの接点となる指輪
第31話で粛宗がトンイに指輪を送るシーンがありますが、この指輪はイ・サンにも重要な場面で出てきます。
イ・サンでは英祖がこの指輪を母の形見として大切にしていて、それを正祖の側室となったソンヨンに贈ります。
これが、英祖がソンヨンを認めた証拠になります。
イ・サンでのエピソードを上手くトンイでつないだ脚本家の遊び心ですね。
指輪の話はトンイファンなら誰かに話したくなる取っておきのエピソードです。
トンイ最大の見せ場は最後の大逆転劇
トンイの最大の見せ場はチャン・ムヨルに打ち勝った最後の戦いでしょう。
そこでは、最後まで誰の見方か分からなかった仁元王后(イヌォンワンフ)の存在が大きいです。
<仁元王后を演じたオ・ヨンソ>
仁元王后を演じたオ・ヨンソさんも真の狙いを悟られないように演じることが大変難しかったと言っています。
真相が明らかになったあとの、凛とした仁元王后の姿に韓国の多くの人々が感銘を受けたそうです。
それだけ、スカッとした逆転劇でした。
もっと深く知りたい方に、作品制作にあたって>>イ・ビョンフン監督がドラマ「トンイ」に込めた思いとは?をご覧下さい。
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イ・サンはトンイの次に見て欲しい作品(2位)
話数:全77話
平均視聴率:26.4%%
最高視聴率:38.9%
監督:イ・ビョンフン、キム・グノン
脚本:キム・イヨン
出演:イ・ソジン、ハン・ジミン
概要:英祖の後を継ぎ、国の改革に果敢に取り組む第22代王・正祖の波乱に満ちた半生を描いた作品。ソンヨンとの切ないロマンスも見どころ
イ・サンは第22代王・正祖(チョンジョ)の一生を描いた作品です。
トンイの息子の英祖(ヨンジョ)の孫がイ・サン、王名・正祖(チョンジョ)です。
従って、トンイを見てからイ・サンを見ると随所に思わぬ関連を見つけることができて楽しめますよ。
トンイ、イ・サンと見て、監督と脚本家の遊び心を見つけて下さい。
正祖は、朝鮮王朝500年の歴史の中で最も優れた指導者だと監督が認める王です。
王になる前も王になったあとも何度も暗殺の脅威に会いながらも、自分を殺そとした敵までも率いて政治を行い最高の業績を残したと言われています。
このことは作品の中にも描かれています。
イ・サンの見どころは3人の子供の成長
イ・ビョンホン監督は、イ・サンを単なる王の物語として描きたくなかったようです。
そこで、正祖のボディーガードのように側で使える人物パク・テスを登場させ、一人は王、一人は王に仕える武士、そしても一人は王が愛した女性の3人の物語にしました。
こうすれば、単なる王の物語ではなく、3人の成長の物語として見てくれると考えたのです。
<イ・サンの3人の子役>
イ・ビョンホン監督は常に若い視聴者に受け入れられる時代劇を目指してきました。
そこで、3人の子供の友情の物語として描くことによって若者にも支持されることを考えたのです。
この当たりが、イ・ビョンホン監督の作品が多くの人に好まれる理由ですね。
イ・サンを中心とした3人がどう成長していくのか注目して欲しい見どころです。
朝鮮の古き文化を描く
また、イ・ビョンホン監督はドラマの中で朝鮮の古き文化を伝えようとしています。
チャングムでは宮廷料理を作る水剌間(スラッカン)、トンイでは朝鮮音楽を奏でる掌楽院(チャンアグオン)、イ・サンでは絵で歴史を記録する図画署(トファソ)、オクニョでは刑務所の典獄署(チョノクソ)を登場させました。
イ・ソジンの遊び心
イ・サンの中では正祖を演じたイ・ソジンが所々で遊び心あるアドリブを入れています。
イ・サンがパク・テスとソンヨンにウィンクをするシーンがありますが、王がウィンクをするなんてありえないでしょう。
監督も最初は気に入らなかったようですが、周りのオシもあり最後はそのまま放映したようです。
第62話です。
ソンヨンが思わず吹き出してしまいます。
でも、実はこのいたずらをイ・ソジンがやったのは2回目です。
その時の相手はテスです。
その場面を探して見て下さい。
きっと、「ここか!」って思いますよ。
美しく泣ける女優ハン・ジミン
また、ソンヨンを演じたハン・ジミンさんをイ・ビョンホン監督はとっても美しく泣ける女優と絶賛しています。
ハン・ジミンさんは、チャングムの時にも出演していますが、そのときも主人公のイ・ヨンエさんに劣らない輝きをもっていました。
<チャングムでシンビ役のハン・ジミン>
「なんかこの人違うな」と思っていましたので、イ・サンに抜擢されたのも納得ですね。
イ・サンを見てから改めて、チャングムのときのハン・ジミンさんを見るのも面白いと思いますよ。
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監督を有名にした宮廷女官チャングムの誓い(3位)
話数:全54話
平均視聴率:45.8%
最高視聴率:57.8%
監督:イ・ビョンフン
脚本:キム・ヨンヒョン
出演:イ・ヨンエ、チ・ジニ
概要:アジアで大ヒットした時代劇ドラマ。実像は謎に包まれているチャングムが前半は料理人として、後半は医女として活躍する波乱の半生を描いた作品
言わずとしれた、イ・ビョンフン監督を海外でも一躍有名にした代表作で、日本でも一番知られています。
チャングムはアジアだけでなく、ヨーロッパ、アフリカ、イスラム圏など世界60カ国で放映され、世界で放映されて最初の韓国時代劇になりました。
チャングムを演じたのは、当時既に大女優のイ・ヨンエさんです。
イ・ヨンエさんが役を引き受けたときの裏話
ただ、チャングム役の女優は簡単に決まった訳ではなく、イ・ヨンエさんにアプローチするまでに既に6人の女優に断られていました。
イ・ヨンエさんも最初は乗り気ではなかったようですが、監督の熱心な説得に根負けして引き受けたようです。
このとき、イ・ヨンエさんがもし、チャングムの役を引き受けなければ、これほどの大ヒットドラマは生まれなかったことでしょう。
チャングムの見どころは架空の料理対決
また、チャングムは制作当初には医者の物語として考えられていました。
しかし、その前のヒット作品のホジュンが医師の物語であり、かぶるのを嫌がってドラマの最初の部分が料理の話になりました。
だから、チャングムの前半の料理の部分は全くの架空の物語なんですよ。
でも、前半の料理対決はぜひ注目して欲しい見どころです。
当時のチャングムの活動が確認できるのは、王様の記録である「中宗実録」の中にわずか数カ所見られるだけです。
信じられなことに、女性でありながら王様の主治医になったこと以外のほとんどの部分が想像で作られています。
(チャングムは主治医にはなっていないという説もあります。)
でも、この物語ではやっぱり料理対決がどうしても印象に残りますよね。
逆に、医師の部分が付け足しの様に感じるのは私だけでしょうか?
チャングムに関する更に驚きの真実は>>チャングムは実在していた!でも、料理人は100%架空の物語
馬医で監督が太鼓判を押すチョ・スンウの演技(4位)
話数:全50話
平均視聴率:17.3%
最高視聴率:24.2%%
監督:イ・ビョンフン、チェ・ジョンギュ
脚本:キム・イヨン
出演:チョ・スンウ、イ・ヨウォン
概要:馬医から名医となった実在した医官ペク・クァンヒョンの波乱に満ちた生涯を描いた作品。
馬医は第18代王・顕宗(ヒョンジョン)から第19代王・粛宗(スクチョン)の時代に実在した医師・白光炫(ペク・クァンヒョン) の物語です。
高貴な身分に生まれながら、運命により賤民(せんみん)として育てられたクァンヒョンが馬医から王の主治医になるまでの激動の人生を描いた作品です。
イ・ビョンフン監督がこの作品で描きたかったのは、聖人君子ではなく、ユーモラスな人間味あふれる医師像だったといいます。
そこで、白光炫(ペク・クァンヒョン)役に目を付けたのがチョ・スンウでした。
チョ・スンウは舞台と映画にこだわりがあり、テレビドラマには出演したことがありませんでした。
馬医の見どころはチョ・スンウの演技に見えない演技
イ・ビョンフン監督は以前から、チョ・スンウにアプローチしていましたが、実は3回も断られたそうです。
そして、4回目のオファーでやっと引き受けてくれたのが、馬医でした。
そのかいあって、チョ・スンウの演技は素晴らしく、イ・ビョンフン監督も舌を巻いたと言います。
特に、第11回から第12回に馬医であるクァンヒョンがやむを得ず、同僚に鍼を打ち投獄されますが、同僚が目を覚ましたと聞いたときの演技はとても素晴らしく演技にはとても見えません。
監督も太鼓判を押すチョ・スンウの演技力をぜひ、確認してくださいね。
監督が目指した新たな医師
イ・ビョンフン監督はすでに、ホジュン、チャングムで医師を扱ったドラマを制作しています。
そこで、馬医では全く違った医師を描きたかったそうです。
ユーモラスで人間味があり、ちょっと抜けているところもある、そんな庶民的な医師を目指しました。
その期待にチョ・スンウが期待以上に答えます。
監督もチョ・スンウの演技には舌を巻いたそうです。
まさに、天才と。
字幕で見ていても、顔の表情や仕草などチョ・スンウの見るものを引き込む演技力を感じることができますよ。
オクニョは監督が初めて作った架空の物語(5位)
話数:全51話
平均視聴率:17.3%
最高視聴率:22.6%
監督:イ・ビョンフン、チェ・ジョンギュ
脚本:チェ・ワンギュ
出演:チン・セヨン、コ・ス
概要:イ・ビョンフン監督が初めて架空の人物オクニョを主人公に描いた作品。明宗時代の実在した人物と場所で史実を踏まえた歴史が描かれている。
それまでは、チャングム、トンイ、イ・サンとイ・ビョンフン監督は歴史に実在する人物を描いてきました。
なぜ、イ・ビョンフン監督は架空の人物オクニョを描くことにしたのでしょうか。
オクニョが架空の人物である理由
描きたくなるような人物は、歴史の中にはもういなかったからです。
イ・ビョンフン監督は物語の主人公をどんな人物にするかで半年間も悩んだ末、架空の人物オクニョを描くことに決めました。
ホジュン、チャングム、イ・サン、トンイとイ・ビョンフン監督は常に歴史に登場する人物を描いてきました。
これは、イ・ビョンフン監督には「時代劇は青少年たちの歴史の勉強の一助となるだけでなく、自国に対する自負心と愛国心を育む」という持論があるからです。
そのため、ドラマの素材探しはイ・ビョンフン監督が時代劇を作る上でもっとも重要視する作業です。
イ・ビョンフン監督は歴史書だけでなく、戯曲や小説などあらゆるものに目を通して描くに魅力ある人物を探しているといいます。
従って、すでにドラマや映画で描かれた人物を取り上げることはありません。
イ・ビョンフン監督が注目した人物には召西奴(ソソノ)、金弘道(キム・ホンド)と申潤福(シン・ユンボク)、善徳女王などがいました。
しかし、召西奴(ソソノ)は「朱蒙」、金弘道(キム・ホンド)と申潤福(シン・ユンボク)は「風の絵師」、善徳女王は「善徳女王」で先に制作されてしまいました。
他にも注目した人物はいたと言いますが、頻繁にドラマ化されているものは避けたといいます。
チャングムやトンイなどそれまでは、特に日の当たらなかった人物でも創造力を働かせて、この世に蘇らせたイ・ビョンフン監督です。
オクニョが初めて歴史上に実在しない架空の人物である理由は、歴史のどこを探してもイ・ビョンフン監督が描きたくなるような魅力的な人物がいなかったからです。
オクニョの見どころは実在の人物と場所
イ・ビョンフン監督は架空の人物を主役にする代わりに、実在した人物と場所で史実を踏まえた歴史を描こうとしました。
実在した登場人物
オクニョで登場する実在する人物は物語の中でも中心的な役割を果たしています。
:第13代王
文定王后(ムンジョンワンフ)
: 明宗の母親
尹元衡(ユン・ウォニョン)
:文定王后の弟
鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)
:尹元衡の妻、朝鮮王朝3大悪女の1人
李之菡(イ・ジハム)
:学者、奇人と言われている
明宗は文定王后に実権を握られて、王らしい働きをすることができませんでした。
<オクニョの明宗>
12歳という年齢で即位したため、まともに政治が行えることもなく、母親の言いなりにならざるを得なかったのでしょう。
王様になったあとも、母親に叱られ、涙する姿がよく見られたと言います。
文定王后は明宗が即位すると、若い王に代わって政治を司り、大臣をも圧倒して朝廷を引きたといいます。
<女帝として君臨する文定王后>
また、オクニョで描かれたように弟の尹元衡やその妻・鄭蘭貞などの身内を取り立てたことが政治の不正・腐敗を招きました。
鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)は張緑水(チャン・ノクス)、張禧嬪(チャン・ヒビン)とならび朝鮮3大悪女と言われています。
<3大悪女の一人 鄭蘭貞>
鄭蘭貞の悪女ぶりは、朝鮮王朝実録にも記録されているほどです。
雨乞いの儀式といって、貴重な米を民の前で魚の餌にしたり、当時は王宮でしかのめない牛乳を腹いっぱいのんだり、その横暴ぶりは目に余るほどでした。
しかし、文定王后がなくなると、ドラマ同様に位も剥奪されて尹元衡と悲惨な最後を遂げます。
実在した場所の典獄署(チョノクソ)
オクニョでは刑務所である典獄署(チョノクソ)を初めて舞台に選びました。
典獄署(チョノクソ)とは、監獄、つまり現代の刑務所ですが、正確には監獄を管理している役所のことを言います。
<典獄署(チョノクソ)>
イ・ビョンフン監督の作品の舞台になったのは、王の料理を作る水剌間(スラッカン)、絵で記録する図画署(トファソ)、王の楽団の掌楽院(チャンアグォン)、市民の病院である恵民署(ヘーミンソ)などです。
イ・ビョンフン監督は、朝鮮の古い文化を伝えることも時代劇を作る人の使命と考えています。
その点からも、舞台をこれまであまり描かれていない監獄として、そこにピッタリの女性オクニョを自由に描いたのではないかと思います。
但し、その背景は史実がもとにされていて、実際の社会状況や実在の人物がシッカリと反映されています。
ホジュン~宮廷医官への道~は監督の初ヒット作品(6位)
製作年:1999年
平均視聴率:48.9%
最高視聴率:63.7%
監督:イ・ビョンフン
脚本:チェ・ワンギュ
出演:チョン・グァンリョル、イ・スンジェ
概要:韓国ドラマ史上、63.7%と空前の視聴率を残した大ヒットドラマ。実在した名医ホ・ジュンの生涯を描いた感動の物語。
既に管理職として現場を離れていたイ・ビョンフン監督が定年を数年後に控えた55歳の時に、再び現場に戻り作り上げた作品です。
この作品で韓国では若者に人気の無かった時代劇をヒットさせることに成功しました。
その後のチャングム、イ・サン、トンイとイ・ビョンフン監督の大ヒット作を生み出すきっかけになった作品です。
チョン・グァンリョンさんが国民的俳優に
実は、今でこそ人気俳優のホジュン役を演じたチョン・グァンリョンさんは当時、全くの無名でした。
このホジュンで大抜擢されて驚異的な高視聴率の大ヒットとなり、一躍国民的俳優になったんですね。
撮影中にチョン・グァンリョンさんを本物のホジュンと思い、鍼を打ってもらいにくるおばーちゃん、ドラマで亡くなったホジュンを本気で悲しむおばーちゃん。
本物のホジュンよりホジュンらしかったとイ・ビョンフン監督は言っています。
そして、ホジュンのイメージが強すぎるチョン・グァンリョンさんを次作にはキャスティングしないと宣言しました。
イ・ビョンフン監督作品でチョン・グァンリョンさんを見るにはオクニョまで待つ必要がありました。
チョン・グァンリョンさんは、当時、テバクにも出演していましたが、オクニョとテバクの撮影は、同時進行したそうです。
イ・ビョンフン監督は、気に入らないと何回でも取り直すことで有名ですが、チョン・グァンリョンさんも相当疲れたのではないでしょうか。
ホジュンの見どころは既存の枠を壊した新しい時代劇スタイル
韓国時代劇は今でこそ、若者からも絶大な支持をされるドラマの人気ジャンルです。
しかし、イ・ビョンフン監督がホジュンを撮影したときは時代劇は古臭いものと、若者からは全く支持されていませんでした。
監督の娘さんからも「お父さん、時代劇はやめて!」と言われるほどでした。
そこで、監督は時代劇の人気を取り戻すためには、若者を取り込むことだと考えたのです。
そして、古臭い、面白くないと言われる既存の枠組みを次々と壊していきました。
・衣装は色鮮やかなパステルカラーに
・セリフは現代語を取り入れ
・音楽も若者がよく聞く最近の音楽を採用
・物語の展開もスピーディーに
こうして、時代劇は古臭い、陳腐で面白くないといったイメージを腐食していきました。
その結果、ホジュン旋風を巻き起こすほどの大ヒットにつながったのです。
今でこそ、当たり前の時代劇スタイルをいち早く取り入れて国民から支持されたホジュンは今見ても決して古臭さを感じません。
既存のイメージを壊したイ・ビョンフン監督のチャレンジこそ、ホジュンの大きな見どころです。
イ・ビョンフン監督のおすすめできない作品
・商道(2001年)
・薯童謠(ソドンヨ)(2005年)
今でこそ、韓国時代劇の巨匠と呼ばれるイ・ビョンフン監督ですが、失敗作品やあまり評判の良くなかった作品もあります。
ヒットを生み出す前に手掛けた作品
朝鮮王朝五百年シリーズはイ・ビョンフンがプロデュース(一部監督)した時代劇作品です。
イ・ビョンフン監督が時代劇に興味を持つキッカケとなった作品ですが、時代劇に対する新たな試みを行う以前の作品です。
そのため、「チャングム」や「トンイ」などで見られるテンポの良い展開や音楽、華やかな衣装、現代語に近いセリフによる分かりやすさに欠ける作品になっています。
大ヒット作品に挟まれて今ひとつヒットしなかった作品
大ヒント作品の次の作品は人々の期待も大きく、作る側へのプレッシャーもハンパではないようですね。
イ・ビョンフン監督の大ヒット作品である「ホジュン 宮廷医官への道」の次の作品の「商道」や「宮廷女官チャングムの誓い」の次の作品「薯童謠(ソドンヨ)」などがそれに当たります。
冬ソナの影で泣いた商道
「商道」は韓国でも「女人天下」や「冬のソナタ」の影で視聴率が伸びなかったようです。
日本でも知名度が低いですよね。
原作はビジネスマンに評判でベストセラーになっていますが、ドラマとしては少し地味に仕上がっています。
私の感想は、他の大ヒットドラマが物語全体を通して、大きな山場が何回かある中に、毎回小さな山場があるハラハラ、ドキドキのパターンですが、商道は淡々と小さな山場が続いているような感じでした。
大きな山場は2回、大量の朝鮮人参が売れなくて困ったとき、そして、逆賊として捕まったときでした。
大量の朝鮮人参が清に売れなかったエピソードは史実だけに、緊張感があり一番の見せ所でした。
主演の イ・ジェリョンの演技もイ・ビョンフン監督が気に入らず、撮影中に何回も怒ったようです。
どうしても、ホジュンのチョン・グァンリョンと比較してしまいます。
50話を見るのは少し辛いかもしれません。
監督も失敗を認める薯童謠
薯童謠はイ・ビョンフン監督も失敗を認めている作品です。
若手俳優のぎこちない演技や科学をベースにした難しい内容は視聴者離れを起こしました。
イ・ビョンフン監督が語っていたように、経験の少ない若手俳優の採用や難しい科学を取り入れたことは、全て成功体験からきたおごりであったそうです。
その後、次々と大ヒット作品を生み出すことができたのは、こうした失敗経験が生かされているからだと思います。
イ・ビョンフン監督が作品作りで心がけていることは次の3点です。
2.とにかく見ていて面白いこと
3.ドラマを通じて何か一つでも有益なものが与えられること
多くの失敗や試行錯誤の中から、得た制作のモットーですね。
イ・ビョンフン監督の作品一覧
イ・ビョンフン監督が実際に演出した全作品をご紹介します。
朝鮮王朝五百年はシリーズ作品で全11作品ありますが、「暴君 光海君」「南漢山城」以外の作品をイ・ビョンフン監督が担当しています。(一部共同監督)
製作年 | タイトル | 話数 | 脚本家 | 平均視聴率 | 最高視聴率 |
1981 | 暗行御史 | - | - | - | - |
1983 | 朝鮮王朝五百年 | - | シン・ボンスン | - | - |
1999 | ホジュン 宮廷医官への道 | 64 | チェ・ワンギュ | 47.1% | 63.7% |
2001 | 商道 | 50 | チェ・ワンギュ | 23.8% | 33.1% |
2003 | 宮廷女官チャングムの誓い | 54 | キム・ヨンヒョン | 41.6% | 57.8% |
2005 | 薯童謠 | 55 | キム・ヨンヒョン | 19.9% | 25.0% |
2007 | イ・サン | 77 | キム・イヨン | 26.4% | 38.9% |
2010 | トンイ | 60 | キム・イヨン | 24.5% | 33.1% |
2012 | 馬医 | 50 | キム・イヨン | 17.3% | 19.1% |
2016 | オクニョ 運命の女 | 50 | チェ・ワンギュ | 17.3% | 22.6% |
注意)視聴率は提供している場所で数値が異なる場合がありますので、参考値として下さい。
暗行御史はイ・ビョンフン監督が1981年~1986年までの5年間に初めて取り組んだ本格的な時代劇ドラマです。
この制作によって、時代劇への愛情が芽生えたと語っていますが、残念ながら、ドラマの詳細は不明です。
1998年に制作された「大王の道」はイ・ビョンフン監督が企画・制作指揮をしましたが、実際に現場で監督をしたのはソ・ウォニョン監督です。
また、イ・ビョンフン監督は朝鮮王朝五百年を監督した後に、一度、現場を離れ管理職としての仕事をしていました。
しかし、当時、担当していた時代劇が不振でひどく落ち込んでいました。
そこで、何とかしたいという思いから、イ・ビョンフン監督が再び現場に戻り、メガホンを取ったのが「ホジュン」です。
現場から10年以上離れての55歳での復帰ですから驚きです。
当然、当時は無謀な挑戦と考える人も少なくなかったといいます。
イ・ビョンフン監督のこの決断がなければ「チャングム」「トンイ」「イ・サン」といった名作を目にすることはできなかったのです。
まとめ
韓国時代劇を韓国ドラマの人気ジャンルに持ち上げたイ・ビョンフン監督の功績は計り知れません。
既存の枠を壊して作り上げた新しい時代劇のスタイルは、その後に放映されたすべての時代劇に少なからず影響を与えていると思います。
そんなイ・ビョンフン監督の渾身の作品を見れば、韓国時代劇にハマることは間違いありません。
ここでご紹介した作品をキッカケに韓国時代劇の面白さをぜひ満喫してください。