光海君（クァンヘグン）の家系図で知る【暴君の家族の悲惨な末路】

歴史上、暴君と評される光海君（クァンヘグン）です。

クーデター（仁祖反正）により廃位され、その家族は悲惨な末路をたどったといいます。

光海君の家系図、家族構成、生涯について詳しくご紹介します。

光海君（クァンヘグン）の家系図

光海君は第14代王・宣祖と側室・恭嬪金氏（コンビンキムシ）の次男として生まれました。

光海君の家系図

光海君は側室・恭嬪金氏の子、しかも次男でした。

そのことが、光海君にとって常に王座を脅かす不安の種でした。

宣祖が新たな王妃（仁穆王后）を迎え、息子（永昌大君）が生まれたことで、その不安は王座を脅かす恐怖へと変わっていきました。

＜光海君の家系図＞

光海君の家族構成

光海君の主要な家族についてご紹介します。

＜父母と兄弟姉妹＞

＜妻と子ども＞

妻の柳氏

光海君は柳自新の娘・柳氏と世子になるまえに結婚しています。

光海君との間には3人の子どもを生みますが、成人したのは李祬だけでした。

詳しくは＞＞廃妃柳氏の家系図【悲しい運命をたどった光海君の王妃】を御覧ください。

息子の李祬

光海君の息子・李祬（イ・ジル）は1610年に13歳で世子になり、翌年の1611年に結婚しました。

従って、李祬は光海君が廃位された時には、既に世子嬪がいました。

母の恭嬪金氏

光海君（クァンヘグン）の母は第14代王・宣祖の側室・恭嬪金氏です。

恭嬪金氏は宣祖から大変寵愛を受けた側室で、他の側室からは一目置かれていました。

長男の臨海君と次男の光海君を生みますが、光海君を生んだ2年後に25歳の若さで亡くなっています。

詳しくは＞＞恭嬪金氏の家系図【短命だった宣祖に寵愛された光海君の母】を御覧ください。

兄の臨海君

光海君には一人の兄・臨海君がいました。

臨海君は粗暴で度々、暴力事件を起こしていたので、世子になることができませんでした。

詳しくは＞＞臨海君の家系図【気性の荒さから王位を逃した光海君の兄】を御覧ください。

異母弟の永昌大君

永昌大君は宣祖の継妃・仁穆王后の息子で、北海君の異母弟にあたります。

本来であれば、王位を継承する嫡子でした。

側室

光海君は正室は１人でしたが、側室は9人いました。

多くの側室がいましたが、側室との間には女の子1人しか生まれませんでした。

カヒは側室ではなかった

父・宣祖の寵愛を受けた金介屎は、光海君にも尚宮として仕えましたが、側室にはなりませんでした。

金介屎はキム・カヒまたはキム・ゲシと呼ばれ、李爾瞻（イ・イチョム）と組んで数々の悪行を行ったと言われています。

即位後の残虐な粛清

光海君は次男であることから正統性が弱く、即位後に家族を粛清することで権力基盤を強化していきました。

兄・臨海君は謀反の罪で流刑にされ、流刑地で亡くなりましたが、殺害されたとも言われています。

王の素質があると言われた綾昌君（定遠君の息子）は反逆罪の罪で死罪にしました。

定遠君は光海君の異母弟でした。

更に、義弟の永昌大君を流刑の上、蒸し焼きの刑という残酷極まりない方法で殺害しています。

このように、光海君は王位を狙える家族をことごとく粛清しました。

家族の悲惨な末路

1623年、殺害した綾昌君の兄・綾陽君がクーデター（仁祖反正）を起こしました。

クーデターは成功して、光海君は廃位、妻、世子（息子）、世子嬪と共に江華島に流刑にされています。

江華島の暮らしは、宮殿で暮らしていたものにとって耐え難いものでした。

世子夫婦は流刑地からの脱出を試みますが企ては事前に発覚して死罪になります。

このことを知った妻の柳氏は、絶望して自ら首を吊って命を断ってしまいました。

光海君の生涯

光海君は1575年4月26日、宣祖と側室・恭嬪金氏の次男として生まれました。

恭嬪金氏は宣祖が大変寵愛した側室でした。

壬辰倭乱が起こる

豊臣秀吉が明を征服して領土を拡張するために朝鮮に侵攻してきました。

1592年4月の壬辰倭乱です。

宣祖は北道の義州に避難、光海君は咸鏡道に避難、それぞれ本朝と分朝の分朝体制としました。

このとき、宣祖は光海君を王世子に指名して、分朝を任せています。

世子冊封が拒絶される

1594年、明は次男であることを理由に光海君の世子冊封の要請を拒絶しました。

つまり、光海君は正式な世子になることはできませんでした。

丁酉倭乱が起こる

1597年１月、日本軍は2回目の朝鮮侵攻を行いました。

丁酉倭乱（丁酉再乱）です。

光海君は2回の倭乱を通して、民心の安定、兵糧や兵器の調達などで功績を上げています。

日本軍の朝鮮侵攻は、1598年に秀吉が亡くなり、ようやく終焉を迎えました。

宣祖に念願の王子が誕生

1602年、宣祖の正室・懿仁王后が亡くなり、宣祖は仁穆王后を継妃に迎えました。

宣祖は51歳、仁穆王后は18歳で年の差33歳の夫婦でした。

1603年に貞明公主を出産すると、1606年には念願の王子（永昌大君）が生まれました。

宣祖は正室が生んだ王子にたいそう喜んだといいます。

光海君の即位

1608年、宣祖が亡くなり、光海君が第15代王として即位しました。

北海君を擁立したのは、李爾瞻（イ・イチョム）、鄭仁弘（チョン・イノン）を中心とする大北派でした。

王権強化のための粛清

光海君が王位に就くと、危険な人物に対する粛清が始まりました。

光海君は庶子の次男であり、王位継承の正統性を問われる弱点を持っていたのです。

まずは、永昌大君を庶人に降格、江華島に流刑としました。

実の兄の臨海君も流刑にされ、翌年、殺害されています。

仁穆王后と貞明公主は幽閉されました。

1614年、永昌大君が流刑地で殺害されました。

享年9歳でした。

このとき、仁穆王后は大妃の地位を廃され側室の身分に降格しています。

仁祖反正による廃位

1623年3月12日、宮廷クーデター（仁祖反正）が起こります。

クーデターを起こしたのは、李貴（イ・グイ）、金自點（キム・ジャジョム）を中心とする西人派でした。

3月13日、光海君は廃位され、江華島へ追放されます。

そして、西人派に担がれた綾陽君が第16代王・仁祖として即位します。

西人派政権は大北派を粛清し、外交政策を崇明排清に転換しました。

光海君の最後

光海君（クァンヘグン）はクーデター（仁祖反正）により廃位されて、王妃や息子と共に江華島に流刑となります。

息子夫婦と妻は亡くなりましたが、光海君は生きる道を選びます。

光海君は極悪人が流される済州島に移され、1641年に66歳で亡くなりました。

光海君の登場するドラマ

光海君（クァンヘグン）は良い王としても悪い王としても多くの時代劇ドラマに登場しています。

特に、おすすめのドラマは＞＞光海君をモデルにしたドラマ７選

まとめ

光海君（クァンヘグン）の家系図に出てくる光海君の家族の末路は悲惨なものでした。

暴君であった光海君の行いが原因と思われます。

しかし、近年、光海君が行った残酷な粛清は、周囲の者によるもので光海君の指示は疑問視されています。

むしろ、光海君は勇敢に豊臣軍と戦い、荒廃した国土を復興し、行政改革を行ったことが高く評価されています。