安順王后の家系図【息子を王にできなかった王妃】

安順王后は王位継承者の資格があった息子を王にすることができませんでした。

安順王后とはどんな王妃だったのか？

家系図から詳しく調べてみました。

安順王后の家系図

安順王后は高麗の大功臣である韓蘭（ハン・ラン）を始祖とする清州韓氏一族の出身です。

清州韓氏は、現在では韓国で所属する人数が第10位の大きな氏族で、昔から多くの著名人を輩出しています。

睿宗の最初の正室である章順王后も清州韓氏の出身でした。

＜安順王后の家系図＞

安順王后はどんな王妃だったのか？

在位期間が短かったためか、安順王后にする記録はほとんどありません。

安順王后のプロフィール

安順王后の親兄弟

安順王后は4男5女の長女でした。

＜親兄弟＞

（注１）慎守英は中宗の最初の妃・端敬王后の父・慎守勤の弟です。

安順王后の父

1444年、父親の韓伯倫は世宗の時代に科拳の文科に合格しました。

その後、官僚として世宗、文宗、端宗、世祖、睿宗、成宗の6人の王に仕えています。

韓伯倫は睿宗が即位して、娘が王妃になると清川君に称されました。

そして、1471年、成宗の時に右議政を務め、清川府院君に称されています。

安順王后の家族

安順王后は睿宗との間に1男2女をもうけています。

睿宗は先妻の正室に息子がいたため、斉安大君は睿宗としては次男です。

不遇な息子の斉安大君

睿宗には先妻との間に、長男の仁城大君がいましたが、1463年に3歳で亡くなっています。

そのため、本来であれば斉安大君が王位を継ぐはずでした。

しかし、幼かったことを理由に、斉安大君は王位継承者から外されてしまいます。

当時、王の継承者を指名できるのは王室の最年長であった慈聖大妃（世祖の正室・ 貞熹王后）でした。

慈聖大妃は息子・懿敬世子の次男を国王に指名しています。

長男の月山大君を指名しなかったのは健康的な要因が表向きの理由ですが、実は次男・乽山君（チャルサングン）の妃が、韓明澮の娘であったことが大きな理由でした。

慈聖大妃は当時の権力者・韓明澮と結託していたのです。

乽山君の生母・仁粋大妃が自分の息子を王にしようと、裏で世祖の重臣たちと策略を企てたとも言われています。

王位継承から外された斉安大君の生活は乱れ、60歳で亡くなるまで、酒と女に明け暮れたといいます。

ちなみに、燕山君が張緑水を知ったのは斉安大君の紹介でした。

安順王后の生涯

1445年、安順王后は韓伯倫の娘として生まれました。

1461年に先の世子嬪（章順王后）が出産後に亡くなると、翌年、揀択により世子嬪に選ばれています。

安順王后、17歳のときです。

1464年に長女の顕粛公主、1466年に長男の斉安大君、1468年に次女の恵順公主が生まれました。

1468年に世祖が譲位して、睿宗が国王に即位すると、安順王后は王妃に冊封されます。

しかし、1年2ヶ月後に睿宗は逝去、安順王后は若くして王大妃となっています。

このとき、息子の斉安大君はまだ4歳と幼かったため、睿宗の兄（懿敬世子）の次男が第9代王・成宗として即位しました。

本来であれば、斉安大君が王位を継ぎ、安順王后または、義母・慈聖大妃が垂簾聴政を行います。

しかし、成宗の母・仁粋大妃が韓明澮ら重臣と結託して自分の息子を王位に継がせてと言われています。

1483年に第9代王・成宗が昌慶宮を再建、安順王后は義母（貞熹王后）と義姉（仁粋大妃）とともに昌慶宮で暮らしています。

その後、安順王后は表舞台に現れることなく、1499年2月3日、享年55歳で亡くなりました。

陸墓は昌陵で、夫の睿宗とともに埋葬されています。

まとめ

夫を若くして失った安順王后ですが、息子に王位を継がせることができませんでした。

酒と女に明け暮れる息子を見て、安順王后は何を思ったのでしょうか？

死後は、夫ともに昌陵に静かに眠っています。