韓国でも人気の高い王・世宗の王妃である昭憲王后はどんな王妃だったのか。
この記事では、昭憲王后の家系図とともに、その壮絶な生涯と功績について詳しく解説します。
昭憲王后の家系図
昭憲王后は沈洪孚を始祖とする氏族・青松沈氏の出身です。
青松沈氏は朝鮮時代に多くの高官を輩出した名門中の名門で、9人の領議政と4人の左議政、右議政を輩出しています。
父親の沈温も領議政(当時は領議政府事)を務めています。

当サイト「雲の上はいつも晴れ」が独自に作成した家系図
<昭憲王后の家系図>
また、青松沈氏からは昭憲王后を含めて3人の王妃を輩出しています。
・仁順王后(第13代明宗の妃)
・端懿王后(第20代景宗の妃)

当サイト「雲の上はいつも晴れ」が独自に作成した家系図
<3人の王妃を出した青松沈氏の系図>
純祖の王妃・純元王后の母親である漢城府夫人も青松沈氏の出身です。
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昭憲王后は三大徳妃の一人とされ、歴史上最も尊敬される王妃といわれています。
夫の世宗もまた、「国が安定したのは王妃の内助の功による」と賞賛しました。
・昭憲王后(第4代世宗の妃)
・仁顕王后(第19代粛宗の妃)
・孝懿王后(第22代正祖の妃)
昭憲王后は忍耐力があり、賢く、統率力に優れた女性であったと思われます。
昭憲王后(ソホンワンフ)
在位:1418年8月10日-1446年3月24日
生年:1395年9月28日
没年:1446年3月24日
享年:52歳
父:沈温( 1375-1418)領議政府事
母:三韓国大夫人(不詳-1444)順興安氏
苦難の生涯|粛清された一族
昭憲王后は3男6女の長女として、父・沈温と母・三韓国大夫人の間に生まれました。
彼女の父・沈温は、太宗によって濡れ衣を着せられて処刑され、兄の沈濬も同様に命を落とします。
さらに、母と兄弟姉妹は奴婢に降格されるという厳しい仕打ちを受けました。
昭憲王后はその中で耐え忍び、王妃としての務めを果たし続けたのです。
<昭憲王后の親兄弟>
関係 | 名前 | 生年ー没年 | 備考 |
長男 | 沈濬 | 不詳-1448 | |
次男 | 沈澮 | 1418-1493 | 仁順王后は5代目の子孫 |
三男 | 沈决 | 1419-1470 | |
長女 | 昭憲王后 | 1395-1446 | |
次女~六女(不詳) |
世宗と昭憲王后の家族|子宝に恵まれる
昭憲王后は世宗とは仲睦まじく、8男2女の子供を授かりました。
長男の李珦が王位を継承し、第5代国王・文宗になっていますが、後に王位への強い野心のあった次男の李瑈がクーデターを起こし、第7代国王・世祖となっています。
<昭憲王后の家族>
関係 | 名前 | 生年ー没年 | 備考 |
夫 | 世宗 | 1397-1450 | 第4代国王 |
長女 | 貞昭公主 | 1412-1424 | 13歳で亡くなる |
長男 | 李珦 | 1414-1452 | 第5代国王・文宗 |
次女 | 貞懿公主 | 1415-1477 | 夫は安孟聃 |
次男 | 李瑈 | 1417-1468 | 第7代国王・世祖 |
三男 | 李瑢 | 1418-1453 | 安平大君 |
四男 | 李璆 | 1420-1469 | 臨瀛大君 |
五男 | 李璵 | 1425-1444 | 廣平大君 |
六男 | 李瑜 | 1426-1457 | 錦城大君 |
七男 | 李琳 | 1427-1445 | 平原大君 |
八男 | 李琰 | 1434-1467 | 永膺大君 |
四男の李璆(臨瀛大君)の娘・中牟県主は燕山君の正妃(廃妃慎氏)の母親です。
父母の名誉回復|文宗の即位でようやく実現
1426年、夫の世宗は遂に、昭憲王妃の母・安氏を奴婢から解放して復権させることができました。しかし、父・沈温の復権は長く認められませんでした。
1451年、長男(文宗)が即位するとようやく名誉が回復され、子弟は官職に就くことが許されます。すでに33年の年月が経っていました。
世宗の想いを継いだ文宗が、やっと母へ「心からの謝罪」ができたと言えます。
昭憲王后の最後
1446年3月24日、昭憲王后は首陽大君の邸宅で静かに亡くなりました。
世宗は病の知らせを受けると、昼夜を問わず看病に通い、廟社・山川・神社・佛宇に昭憲王后の回復を願って祈禱させています。
母親思いの世子(文宗)は母の病が重くなるに連れて、食べ物も食べず、夜通し眠ることもなかったといいます。
現在、昭憲王后は世宗とともに英陵で仲良く、そして安らかに眠っています。英陵は朝鮮王陵初の合葬陵で、ここからも夫婦の絆の深さを知ることができます。
昭憲王后が登場するドラマ
ドラマでは、世宗を支える心優しい妃として描かれることが多く、「大王世宗」などでその姿を垣間見ることができます。
龍の涙(1996年、ト・ジウォン)
大王世宗(2008年、イ・ユンジ)
根の深い木(2011年、チャン・ジウン)
ポンダンポンダン 王様の恋
(2015年、チン・ギジュ)
不滅の恋人(2018年、ヤン・ミギョン)
太宗イ・バンウォン
(2021年、キム・ビジュ)
( )内は昭憲王后を演じた女優
まとめ
昭憲王后は名門の氏族・青松沈氏に生まれながら、父を失い、母や兄弟を奴婢にされ、一族が滅ぼされる壮絶な経験をしました。
しかし、この辛い状況にも耐え忍び、昭憲王后は王妃としての役割を果たし、最後まで世宗に尽くしています。
この誠実さと強さが、後に「徳妃」と称される所以であり、後世の尊敬を集める理由です。