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仁祖の側室チョ氏(貴人趙氏)は悪女?【史実が語る実像とは】

韓国ドラマの貴人趙氏は悪女そのものです。

彼女は本当に悪女だったのか?

その実像を史料を基に徹底解説します。

仁祖の側室・貴人趙氏とは?

貴人趙氏(キインチョシ)は慶尚右道で武官を務める趙琦と側室・漢玉の間に生まれた庶子でした。

父親は名門ではない淳昌趙氏の出身で、決して高い身分ではありませんでした。

貴人趙氏の家系図

<貴人趙氏の家系図>

本来、庶子の女性が王の側室になるのは極めて異例でした。

実録によると、仁祖の正室・仁烈王后の義兄・鄭百昌の推挙(コネ)で宮中に入り、王から溺愛を受けたと言われています。

貴人趙氏は王の寵愛をいいことに、次第に後宮で強い影響力を持つようになります。

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なぜ「悪女」と呼ばれるのか?

貴人趙氏(以下チョ氏)が悪女と呼ばれる理由を史実から迫ります。

史実が語る「悪女」の誕生

仁祖実録によれば、朝廷の重臣は次のように進言して強い懸念を示しました。

名門でもない趙琦の娘のような女性が後宮に入り、楊貴妃のごとく王を惑わせれば国家が滅びることになる。<仁祖実録1630年7月2日を抜粋要約>

彼女の「悪女のイメージ」は入宮時から形成されていました。

<豆知識>楊貴妃(ようきひ)
中国・唐の玄宗皇帝に溺愛され、安史の乱を招いたとされる女性です。国を滅ぼしたことから「傾国の美女」と呼ばれ、世界三大美人の一人と言われています。

宮中を恐怖で支配

若くして継妃となった荘烈王后は王の寵愛を受けられず、代わってチョ氏が宮中で力を持つようになります。

仁祖実録には、そのことを明確に示す記録があります。

時、中殿及張淑儀皆無寵、而昭儀愈益見幸、性かつ陰巧、所與相忤者、輒被構陷、宮中之人無不畏之。<引用元:仁祖実録1645年10月2日>

<訳>当時、中殿(荘烈王妃)および張淑儀は寵愛を失っており、昭儀(貴人趙氏)がますます王の信頼を受けていた。彼女の性格は陰険かつ巧妙で、敵対する者がいれば、すぐに陥れる策を弄した。そのため、宮中の人々は皆、彼女を恐れていた。

彼女は策略と陰謀で宮中を支配していたことが分かります。

昭顕世子の妻・姜氏との対立

チョ氏は昭顯世子の妃である姜氏を特に嫌っており、中傷や陰口は日を追うごとに激しくなったといいます。

最後は姜氏は呪詛罪で幽閉され、仁祖毒殺未遂の罪で処刑されますが、史実を読み解くと、背後にチョ氏の暗躍があったことが推測されます。

そして、この事件が彼女を「悪女」として決定づけた出来事となります。

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プロフィールと昇進の軌跡

チョ氏は地方の武官と側室の間に生まれた庶子であり、本来であれば、王の側室として迎えられることはありませんでした。

しかし、彼女は持ち前の美貌と媚びる能力で、1630年に側室に迎えられると、従一品の「貴人」まで昇進していきました。

<プロフィール>
生年:不詳
没年:1651年12月14日
子女:孝明翁主
   崇善君
   楽善君
父親:趙琦
母親:漢玉
本貫:淳昌趙氏

<昇進年表>

昇進年 称号 品階
1638年 昭媛(ソウォン) 正四品
1640年 昭容(ソヨン) 正三品
1645年 昭儀(ソイ) 正二品
1649年 貴人(キイン) 従一品

貴人趙氏の最後

宮廷では怖いもの知らずとして知られたチョ氏でしたが、後ろ盾であった仁祖の死によって、その権威は一気に失われました。

この隙を突くように、荘烈王后は「貴人趙氏が第17代国王・孝宗および自身に呪詛を行っている」と告発します。

拷問の末に、チョ氏に仕えていた女官が罪を自白、チョ氏はついに死罪に処されることとなりました。

それは、仁祖が亡くなった1649年から3年後、1651年の出来事でした。

韓国ドラマで描かれた貴人趙氏

宮廷残酷史では「 ヤムジョン」、華政では「ヨジョン」と実名とは異なる人物で登場します。

しかし、いずれも「悪女」として登場しています。

<登場するドラマ>
大命(1981年、クォン・ギソン)
馬医(2012年、ソ・ヒョンジン)
花たちの戦い 宮廷残酷史
(2013年、キム・ヒョンジュ)
華政(2015年、キム・ミンソ)
恋人(2023年、ソ・ユジン)
( )内は演じた女優

まとめ

貴人趙氏(チョ氏)は、美貌と才覚を武器に王の寵愛を一身に受け、後宮において強大な影響力を持つ存在となりました。

史実は、彼女が王妃への苛烈ないじめ、気に食わないものの排除、世子嬪・姜氏への陰湿な攻撃など思うがままに振る舞ったことを語っています。

チョ氏を悪女と称する後世の評価は、主に「仁祖実録」や「孝宗実録」などの正史に記された彼女の行動や処遇に基づいて形成されたものでした。​

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