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イ・サンが愛したソンヨンの死因は?【病死か、毒殺か】

イ・サンが愛したソンヨンのモデルは宜嬪成氏(ウィビンソンシ)です。

この記事では、彼女の死因が病死だったのか、毒殺だったのか。

史実をもとに分かりやすく解説します。

ソンヨンの死因は病死?正祖実録から読み解く

ソンヨンは1786年9月14日に出産を控えて突然、亡くなりました。

正祖実録には次のように記録されています。

宜嬪成氏卒。 敎曰: “嬪喪, 依甲申年例, 以後庭一等例行之。
<引用元:正祖実録1786年9月14日>

<訳>宜嬪成氏が亡くなる。嬪の葬儀は、甲申年の例に準じて、後宮一等の例で執り行うよう命じた

注)「甲申年の例」とは1764年に実施されたイ・サンの祖母・暎嬪李氏の葬儀のことです。

一部の記事では、「肝硬変」とか「産後の熱と気鬱(きうつ)」とか記述されているものが見られますが、実録や承政院日記などの史料には病名に関する記録はありません。

ただし、病状の進み具合の記録があり、病気であったことは間違いありません。

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なぜ、毒殺と広まったのか?

ネットなどでは毒殺説も語られていますが、史料にはそのような記録は一切存在しません。

毒殺説が広まった理由には、実録の次の記録が要因と考えられます。

蓋嬪病症非常, 時疑其有祟云。
<引用元:正祖実録1786年9月14日>

<訳>嬪の病状が通常ではなかったので、当時、病気は祟りではないかと疑われた。

この病気の進行が異常であったとの記録から、毒殺説が一人歩きしたと考えられます。

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ドラマ「イ・サン」と史実の違い

ドラマ「イ・サン」と史実の違いを簡単に比較すると、次のようになります。

史実 ドラマ
死因 病死 病死(臓結病)
年齢 34歳 明示されず
状況 妊娠中 妊娠中
正祖の反応 深い悲しみと丁重な葬儀 感情的な演出

ドラマでは、臓結病とされていました。

<豆知識>臓結病とは
現在の肝臓癌や肝硬変。肝臓内にかさぶたのような組織(線維組織)ができて、肝臓が固くなる病気。ソンヨンもドラマではお腹にしこりを感じていました。症状が出にくい病気で、病状が現れるころには、かなり症状が進行している状態です。

ドラマでソンヨンの死は大きなクライマックスとして、視聴者の感情に訴えるように演出されましたが、実際、史実のイ・サンの悲しみも想像を絶するものがあったと推測されます。

悲しみに暮れるイ・サンの記録

イ・サンの悲しみは深く、朝廷と民衆が心配するほどだったと記録されています。

上企待方切, 不勝悼惜。 朝野莫不以國本爲憂。~(略)~上曰: “病情奇怪, 竟至於此。 從今國事尤靡托矣。”
<引用元:正祖実録1786年9月14日>

<訳>王は非常に期待していたので、心から嘆き悲しんだ。朝廷と民衆はそんな王のことを大変心配した。~(略)~王は言った。「病状が奇怪(常識では考えられないような急変)で、このような事態になってしまった。もう、国事を依頼するをことはないだろう」

女性との間の国事とは、王子の出産を意味していると思われます。つまり、「もう、誰かを愛することはない」イ・サンの固い決意です。

また、イ・サンの思いの深さは、ソンヨンが側室であるにもかかわらず、イ・サンが自ら碑文を作ったことからも分かります

ソンヨンは悲劇の側室

実在したソンヨンのモデル宜嬪成氏は、女官として10歳のときに入宮、イ・サンとは1762年~1780年の間に知り合ったと思われます。

実は彼女、1780年に初めて身ごもってから、1786年に妊娠中に亡くなるまで、たった6年間の間に4人もの子供を授かりながら、全員を失っています。

ソンヨンはまさに、悲劇の側室でした。

ソンヨンの現在のお墓

イ・サンはソンヨンを息子の文孝世子の隣に埋葬しました。

ソンヨンと文孝世子が眠るお墓は文孝世子の「孝」と世子が生まれた場所の昌慶宮(チャンギョングン)の「昌」から孝昌園(ヒョチャンウォン)と名付けられました。

しかし、1944年にソンヨンと文孝世子の墓地は別の場所に移設されてしまいます。

西三陵の中のソンヨンと文孝世子のお墓

<西三陵の中のソンヨンと文孝世子のお墓>

ソンヨンは王室の共同墓地の側室墓の中に眠っています。

ソンヨンが眠る共同墓地

<ソンヨンが眠る共同墓地>

ソンヨンのお墓は周囲に石像もありません。

ソンヨンのお墓

<ソンヨンのお墓>

まとめ

イ・サンが深く寵愛した側室・ソンヨンの死因は病気と考えられますが、史料には具体的な病名の記録は残されていません。

当時の医療技術では、病状の原因を正確に特定するのが難しかったのでしょう。

一方で、よく聞く「毒殺説」についても、信頼できる史料による裏付けはありません。

こうした史実を知ることで、ドラマの描写との違いや登場人物の背景により深く共感できるはずです。

改めて『イ・サン』や『赤い袖先』を見直すと、新たな感動があるかもしれません。

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