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奇皇后のタナシルリは実在した皇后【15歳の少女の実像とは】

奇皇后と激しく対立する皇后タナシルリは実在した人物でした。

タナシルリのモデルとなったダナシリとはどんな女性だったのか。

ダナシリの家系図から詳しく調べてみました。

 

奇皇后のタナシルリは実在

タナシルリのモデルとなったダナシリは元の朝廷を独裁していた軍閥の一族の娘でした。

家系図を見ると、代々、皇室に使える部族軍団であったことが分かります。

ダナシリの家系図

ダナシリの先祖のクルスマンはキプチャク部族の首長でしたが、当時、勢力を拡大していたモンゴルの侵略を受けます。

結果、クルスマンはモンゴルの第4皇帝モンケに降伏、以降、一族はモンゴルの軍隊として仕えることになりました。

<ダナシリの家系図>

特に、ダナシリの曽祖父のトトガクは元の初代皇帝クビライに仕え、抜群の功績を上げて一族を最強の軍団に育てました。

祖父のチョンウルもテムル、カイシャンに武将として仕え、大きな武功を上げています。

ダナシリの父エル・テムルは、少年時代から祖父のチョンウルと戦場に出て戦い、カイシャンから大変寵愛を受けました。

 

ダナシリの父は独裁権力者

ダナシリの父エル・テムルはヨンチョルのモデルとなった人物です。

エル・テムルはチョンウルの三男でしたが、チョンウルが亡くなると地位を継承しました。

 

キプチャク人軍団の指揮官となったエル・テムルは皇帝イェスン・テムルの死の後の継者争いを利用して権力を掌握していきます。

皇帝イェスン・テムルの死の後の継者争いは「天暦の内乱」と呼ばれています。

 

エル・テムルは「天暦の内乱」で皇帝をも操るほどの独裁権を握り、元の軍閥政権時代を築きました。

当時のエル・テムルの凄さは、ドラマ「奇皇后」でヨンチョル役のチョン・グクファンが見事に演じています。

<豆知識>
天暦の内乱とは
イェスン・テムルの死からコシラの死、トク・テムルの復位までの1年間の内乱を天暦の内乱と呼んでいます。天暦はトク・テムルの元号です。ドラマでヨンチョルが3人の皇帝を代えたと言うのは、この内乱のことを示しています。3人の皇帝とは、アリギバ、トク・テムル、コシラのことで、コシラはタファン(トゴン・テムル)の父親です。

 

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一族と皇族の深い関係

ダナシリの出身部族キプチャクと皇族との関係は、先祖のクルスマンが後のモンゴルの皇帝モンケに降伏したことにより始まります。

キプチャク部族はモンゴルの軍隊として皇族に仕えていきます。

 

特に、皇族との関係が深くなったのはダナシリの曽祖父のトトガクは元の初代皇帝クビライに仕えてからです。

そして、新進の部族であったキプチャクが軍閥として独裁権を掌握したのはダナシリの父・エル・テムルの時代でした。

<キプチャク一族と皇族の関係>

実は、史実ではトゴン・テルムが皇帝に即位したのは、エム・テムルが亡くなってからです。

エム・テムルの後を息子のタンキシュが引き継ぎますが、次第に権力は衰え、バヤンにその座を奪われてしまいます。

 

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史実のタナシルリはどんな皇后

史実のタナシルリ(ダナシリ)は、大変嫉妬深く、ひどく傲慢でした。

事実、元史には奇皇后をムチで叩いたり、焼きコテを肌に当てたりしたダナシリの行為が記録されています。

後答納失里皇后方驕妬, 數箠辱之.
<引用元:元史 卷114 后妃より抜粋>

その結果(寵愛された結果)、ダナシリ皇后から嫉妬され、鞭で打たれることがあった

ダナシリについて、詳しいことはほとんど分かっていません。

<ダナシリのプロフィール>
生年:1320年
没年:1335年
漢字表記:答納失里
父:エル・テムル(燕帖木児)
配偶者:トゴン・テムル(妥懽帖睦爾)
兄:タンキシュ(唐其勢)
タラカイ(塔剌海)

 

史実のタナシルリの最後

史実のタナシルリ(ダナシリ)の最後は、無惨な賜死による毒殺でした。

ダナシリの兄タンキシュはバヤンに奪われた権力を取り戻すために謀反を起こしました。

しかし、クーデターはバヤンにより鎮圧され、タンキシュの一族は全て殺害されてしまいます。

 

ダナシリも廃位され平民に降格の上、宮廷を追放されてしまいました。

しかし、これで事態は収まらず、無惨にも最後はバヤンにより毒殺されます。

ダナシリはまだ15歳に過ぎませんでした。

 

まとめ

タナシルリのモデルとなったダナシリは、代々、皇帝に軍隊として仕える部族の娘でした。

ダナシリの父親のエル・テムルは皇帝をも凌ぐ権力者で朝廷を牛耳っていました。

そのため、ダナシリの性格は我がままで、嫉妬深く、皇帝の寵愛を受ける奇皇后をいじめ抜いたようです。

 

しかし、最後は兄の謀反の罪で毒殺され、一族も滅亡しました。

ダナシリはまだ15歳の少女でした。

 

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