廃妃尹氏の家系図【生前に廃妃になった最初の王妃】

朝鮮王朝で生前に廃位になり、毒殺された最初の王妃・廃妃尹氏。

後に暴君・燕山君の母として知られる彼女はどんな王妃だったのか。廃妃尹氏の家系図とともに、彼女の人物像から波乱に満ちた生涯まで詳しく解説します。

廃妃尹氏の家系図

廃妃尹氏（ペビユンシ）の出自氏族は、坡平尹氏から分かれた尹敦を始祖とする咸安尹氏の一族です。

始祖の尹敦は高麗王の元宗のときに反乱を鎮圧して功績を立て、その息子の尹希甫が本貫を咸安としました。

当サイト「雲の上はいつも晴れ」が独自に作成した家系図

＜廃妃尹氏の家系図＞

咸安尹氏と坡平尹氏の関係

咸安尹氏は坡平尹氏の分派に当たり、咸安尹氏の始祖・尹敦は坡平尹氏の始祖・尹莘達から数えて１０代目のあたります。咸安尹氏は、後に坡平尹氏へ還譜しています。

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＜咸安尹氏と坡平尹氏の関係＞

名門・坡平尹氏からは3人の王妃が登場

咸安尹氏の源流である坡平尹氏からは３人の王妃が輩出されています。

廃妃尹氏は、この名門氏族に連なる分派・咸安尹氏の出身です。

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＜坡平尹氏は３人の王妃を排出した名門氏族＞

廃妃尹氏はどんな王妃だったのか？

最初、廃妃尹氏はその美しい容姿と慎ましい性格で、成宗から大変な寵愛を受けました。後に、側室から王妃へと昇進しています。

しかし、燕山君を出産した頃から、次第に嫉妬深く気性の激しい性格が表面化します。寵愛される側室への嫌がらせ、義母への不遜な態度など王妃としては考えられない態度をとりました。

廃妃、賜死にされた経緯

廃妃尹氏は嫉妬深く激しい気性の持ち主で、夫・成宗の側室たちに対し過激な行動を繰り返しました。中でも寵愛を受けていた貴人鄭氏や貴人嚴氏には執拗に嫌がらせをしたと伝えられています。

さらに毒や呪詛の道具が見つかり、不信感が決定的となったのは、成宗の顔を爪で傷つけた不敬行為でした。この事件で尹氏は廃位・追放されます。

3年後には復位の動きもありましたが、仁粋大妃らの証言により賜死が決まり、後の燕山君による粛清事件「甲子士禍」へとつながっていきます。

朝鮮王朝実録で見る廃位

朝鮮王朝実録の成宗実録には1479年6月2日に廃妃尹氏が廃位になったことが記録されています。

王妃尹氏, 爰自後宮, 遂正坤極, 旣無陰助之功, 反有忌妬之心, 頃在丁酉, 潛懷毒藥, 欲害宮人, 陰謀彰露, 予欲廢之。
ーーー（中略）ーーー
乃於成化十五年六月初二日, 廢尹氏爲庶人
＜引用元：成宗実録1479年6月2日＞

意訳すると

実家は名門｜母は申叔舟の一族

廃妃尹氏の母親は申叔舟の従妹にあたります。

申叔舟（シン・スクチュ）は朝鮮王朝初期の政治家であり学者です。彼は学者として、ハングルの創製にかかわり世宗に重用されました。

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＜母親と申叔舟の関係＞

申叔舟について詳しくはこちら＞＞申叔舟（シン・スクチュ）の家系図【実在した世祖の忠臣】

廃妃尹氏の生涯｜波乱に満ちた人生

廃妃尹氏の生涯をまとめると次のとおりです。

廃妃尹氏が出るドラマ

廃妃尹氏は波乱の生涯から、数多くの時代劇ドラマに登場しています。

「インス大妃」の廃妃尹氏は史実に近く、礼儀正しい廃妃尹氏が次第に豹変していく姿を見ることができます。一方、「王と私」では廃妃尹氏を大胆にアレンジしてヒロインとして描いています。

まとめ

最初は礼儀正しい廃妃尹氏も嫉妬深い性格が仇となり、次第に豹変していきます。成宗が女好きで多くの側室を抱えたことも廃妃尹氏の嫉妬心に輪をかけたといえます。

そして、廃妃尹氏の嫉妬心が燕山君による朝鮮王朝最大の粛清を引き起こすことになりました。