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師任堂の初恋イギョムのモデルは実在した李巌【可愛い犬の絵の作者】

サイムダンの初恋の人・イギョム(宜城君)は実在したのか?

あの犬の絵は本物?

イギョムについて詳しく調べてみました。

 

イギョムのモデルは実在した李巌

「師任堂(サイムダン)色の日記」に登場するイギョム(宜城君)のモデルは絵師の李巌(イ・アム)です。

李巌の代表作「母犬図」です。

<李巌の作「母犬図」>

イギョム(宜城君)がサイムダンに送った絵としてドラマにも登場していました。

 

李巌の家系図

李巌(イ・アム)は、第4代国王・世宗の血を引く王族です。

しかし、李巌の父親は世宗の孫の亀城君が妓生に生ませた子供で、詳しい記録は残っていません。

<李巌の家系図>

李巌の祖父の亀城君は優秀な人材で、1467年の李施愛の乱で活躍、若くして領議政までなった人物です。

<豆知識>李施愛の乱とは
1647年に咸鏡道で地方豪族の李施愛(イ・シエ)が、世祖の政事に不満を持つ民衆を巻き込み起こした反乱

しかし、一方で、世祖のように王族が政治に参加すると、王位を望み、大臣を殺害、政権を奪うのではと、亀城君は危険視されるようになりました。

そのため、亀城君は謀反の罪を着せられて朝廷から追放され、流刑地で病死してしまいます。

 

ドラマの中でも「イギョム(宜城君)は謀反の罪を犯した亀城君の孫」と大臣たちが話している場面がでてきます。

この事件以降、王族の政治参加が禁止されました。

 

李巌の絵画

李巌は当時から画家として高い評価を得ており、日本でも完山静仲(かんざんせいちゅう)の名で知られています。

数少ない李巌の絵画ですが、2点ばかり日本にも存在しています。

<李巌の絵画と認められているもの>
・花下狗子図(日本・日本民藝館)
・双狗子図(日本・個人蔵)
・母犬図(韓国・国立中央博物館)
・花鳥狗子図(韓国・湖巌美術館)
・花鳥猫狗図(北朝鮮・平壌美術館)
・花鳥双雁図(北朝鮮・平壌美術館)

ドラマ「師任堂(サイムダン)」に登場する犬の絵は実在する「母犬図」です。

<李巌の絵画>

 

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李巌はどんな人物

李巌の生年は1499年か1507年、没年は1566年と言われていますが、正確なことは分かっていません。

<李巌のプロフィール>
生年:1499年(または1507年)
没年:1566年
官職:杜城令(正五品)
祖父:亀城君
父親:不明
母親:不明(妓生)

宋の毛益の画法を学びましたが、実際には韓国的な独特の雰囲気を漂わせる画風が特徴です。

特に、花や竹、鳥獣図が得意でした。

 

李巌の画家として技術の高さは、承政院から李上佐とともに中宗の肖像を描く画家に推薦されたことでも分かります。

杜城令 巖善畫, 私奴上佐亦善畫, 竝令參畫何如?
<仁宗実録 1545年1月18日から抜粋>

杜城令の李巌は絵が上手く、私めの奴婢・李上佐も絵が上手いので、一緒に描かしてはどうでしょうか?

また、李巌の絵画は日本にも伝わり、俵屋宗達の犬の絵にも影響を与えました。

 

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安堅の金剛山図は実在するのか

ドラマでイギョムがサイムダンに送った安堅の金剛山図(クムガンサン)は実在しません。

そもそも、確実に安堅が書いたと確認できる絵画はほとんどが現存していないのです。

 

安堅の唯一存在する「夢遊桃源園」

唯一、安堅(アン・ギョン)の作品と確認できるが、金剛山図のモデルになったと思われる「夢遊桃源園」だけです。

<安堅の夢遊桃源園>

夢遊桃源園は、世宗の息子の安平大君が夢にみた美しい場所を安堅に頼んで書いてもらったものです。

安平大君が夢で遊んだ桃源郷(俗世を離れた別世界)なので、安平大君自ら「夢遊桃園圖」と書いています。

このことは、絵に付された安平大君の跋(ばつ)に記載されています。

 

また、長さ1m程度の絵ですが、これを観て称賛した21名の名士の跋が追加されたため、長い巻物になっています。

<豆知識>跋(ばつ)とは
跋(ばつ)とは、書物や書画の終りに,その来歴や編著の感想・次第、称賛の文などを書き記した短文のことです。

 

夢遊桃源園は、1453年、安平大君が殺害された癸酉靖難(ケウジョンナン)のときに行方不明になります。

その後長い間、行方不明になっていましたが、1893年に日本の鹿児島の島津家所蔵品から見つかりました。

 

そして、1950年初めに売りに出されたものを数千ドルを超える価格で天理大が購入しました。

現在は、天理大学附属の天理図書館に所蔵されています。

ドラマでも「夢遊桃源園」は日本が所有していると説明しています。

 

謎めいた絵師・安堅

安堅(アン・ギョン)は忠清南道池谷の生まれで、名字は可度、従って、本貫は池谷可度(チゴクカド)です。

生没年は不明ですが、世宗の時代に活躍した絵師です。

 

安堅は朝鮮の3大画家の一人と言われるほど才能に恵まれた絵師ですが、ほとんど作品が残っていません。

王室の絵画を担当した図画院の画員で正4品にまでになり、安平大君に大事にされたことは分かっています。

夢遊桃源園も安平大君が見た夢を、安堅が3日で描いたと言われています。

しかし、ほとんどが謎のミステリアスな人物です。

 

まとめ

サイムダン(師任堂)の初恋の人イギョムのモデルは李巌(イ・アム)です。

李巌が描いた犬の絵「母犬図」がドラマにも登場しています。

 

李巌は謀反の罪で流刑になった亀城君の孫でしたが、中宗の肖像を描く画家に推薦されるほど評価の高い画家でした。

もちろん、サイムダン(師任堂)と李巌の間には出会いも恋愛関係はありませんでした。

 

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