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朝鮮王朝の王妃の生活【内命婦と外命婦の長として忙しい生活】

一見華やかに見える朝鮮王朝の王妃の生活ですが、実際は苦労の多い、大変な地位だったといいます。

生涯、王妃はどんな生活を送ったのでしょうか。

 

内命婦・外命婦の長としての生活

朝鮮王朝の初期には、王妃は王が宮殿に不在のときの代理や外国からの使者の接待など表に出ることも多くありました。

しかし、後期からは表に出ることはほとんどなく、内命婦(宮中の女性の組織)や外命婦(重臣の婦人の組織)の長として、女性たちの統率が大きな仕事になりました。

内・外命婦の問題は王様でも口を挟むことはできませんでした。

 

王妃の生活上で重要な役割は、目上の人にご機嫌をうかがったり 目下の人からご機嫌の挨拶を受けたりすることでした。

大妃への挨拶はかかすことができませんでした。

また、内・外命婦の女性のトップの地位にいる王妃に謁見を求める女性は多かったと推測できます。

 

更に、朝鮮王朝の王室では、大小の行事が後を絶たず、王妃は内・外命婦の女性たちを統率して、準備していきました。

内・外命婦の長としての大きな行事は、王家の婚礼や生誕の行事、民に施す行事などの王室行事でした。

王室の結婚式だけでも「王妃を迎える儀式」「世子嬪を迎える儀式」「大君が妻をめとる儀式」「王の娘が嫁に行く儀式」などがありました。

 

また、王妃は宮廷内でさまざまな宴会を開き内·外命婦の女性たちとの和合を図ることも大事な務めでした。

先王と先王后を追悼する喪礼と祭礼のときは供物を取り揃えるのも王妃の役割でした。

時には、王妃が直接参加することもありました。

 

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私的生活、王子の育児

次期王である王子を生むことは、王妃に課せられた大きな重責でした。

しかし、頑張って王子を生んでも普通の母親のように側において育てることはできませんでした。

産後、21日経つと、王子は王妃から離され、乳母や保姆尚宮によって育てられます。

王子は王妃個人の子供ではなく、国の後継者だったのです。

 

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一族を代表する王妃

王妃の父親や兄弟は優先され、朝廷で重要な官職に就きました。

朝廷で高い地位についた、親兄弟は次第に親戚を朝廷の官職に就けていきます。

 

こうして、王妃の外戚が朝廷で権力を掌握、政治を独裁する、いわゆる勢道政治が始まります。

純元王后の一族である安東金氏による勢道政治は有名です。

 

王妃は直接、政治に口を出すことはありません。

しかし、私的に王の側にいられる王妃が重要な役割を果たしたことは、間違い無いでしょう。

 

影の絶対君主の大妃

自分の息子が王に即位すると、王妃は大妃となります。

大妃は廃位されることがなく、また、母親である大妃には王や王妃でさえ、一目置かざるを得ません。

 

正祖の母・恵慶宮が「王妃になれなかったのは仕方がないが、大妃になれなかったのは心底悔しい」と述べています。

それほど、大妃の地位は王妃の憧れの地位なのでしょう。

世子嬪から王妃になり、大妃となった王妃は朝鮮王朝で唯一、明聖王后だけでした。

 

まとめ

朝鮮王朝の王妃の生活で重要なことは、内・外命婦の長として、大小様々な王室行事を仕切ることでした。

生まれた王子の育児など、通常の母親としての役目からは外されてしまいます。

一見華やかに見える王妃の生活ですが、私的な楽しみはほとんどなかった言えるでしょう。

 

世子嬪から王妃になり、大妃として一生を送るのが、王妃として理想の生涯だったといいます。

王妃としての責任から外れ、それでいて、王も従わざるを得ないのが大妃の地位です。

苦労した生活を送った王妃にとって、大妃は最終的にたどり着く理想の地位だったのかもしれません。

 

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