キムジャジョム(金自點)は、実在した朝鮮中期の重臣です。一時は朝廷を牛耳るほどの権力を持ちながら、晩年は謀反の罪で一家は滅亡へと至ります。
この記事ではキムジャジョムの家系図から、人物像、家族構成、そして波乱の生涯を史実に照らして解説します。
キムジャジョムの家系図
キムジャジョム(金自點)は新羅の王族だった金叔承を始祖とする旧安東金氏の出身です。朝鮮後期に勢道政治で国政を独占した新安東金氏とは別の一族になります。先祖には高麗の将軍・金方慶がいました。

当サイト「雲の上はいつも晴れ」が独自に作成した家系図
<キムジャジョムの家系図>
この一族は、キムジャジョム(金自點)が仁祖反正の功臣となったことで、朝廷内に権力を拡大していきました。孫の金世龍(キㇺ・セリョン)が、仁祖と側室・貴人趙氏の娘である孝明翁主と結婚、外戚としての地位を確立します。
その後、キムジャジョムは昇進を重ね、遂に、朝廷最高位の領議政まで上り詰めます。これは、彼が中堅氏族出身の単なる忠臣ではなく、大きな野望を持った野心家であったことを示しています。
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幼い頃から記憶力が非常によく、暗記で周囲の大人たちを驚かせたといわれています。
生年:1588年
没年:1652年(享年65歳)
最終官職:領議政
父:金琢(キム・タック)
母:杞溪兪氏(兪泓の娘)
兄:金自兼
妹:名前不明(申景植の妻)
妹:名前不明(趙裕遠の妻)
キムジャジョムの家族
キムジャジョム(金自點)には、正室、継室と妾がいたと言われていますが、詳細は分かりません。
キムジャジョムの妻
関係 | 名前 | 子女 | 備考 |
正室 | 不詳 | 1男 | |
継室 | 不詳 | 2男2女 | |
妾 | 不詳 | 1男 |
キムジャジョムの子供
正室・継室・妾との間に息子が3人いたと伝わります。息子たちはいずれも短命で、父と運命を共にする形で死を迎えました。
関係 | 名前 | 生年-没年 | 備考 |
長男 | 金鍊(キム・リョン) | 1605-1651 | 正室の子 |
次男 | 金鉽(キム・シク) | 1620-1651 | 継室の子 |
三男 | 金铤(キム・イク) | 1631-1651 | 妾の子 |
金鍊の息子の金世龍(キム・セリョン)が仁祖の娘の孝明翁主と結婚しています。
キムジャジョムの栄光から没落
仁祖反正後、キムジャジョムは急速に出世。兵曹判書、右議政、左議政、ついには領議政(最高官職)に就任し、軍事・人事・外交のすべてを掌握しました。
しかし、1636年の丙子の乱では清(後金)との戦争で朝鮮軍が惨敗し、責任を問われて流刑となります。その後、仁祖の恩赦により政界復帰を果たします。
1645年、清から帰国した昭顕世子とその妃・愍懐嬪姜氏が不審死。この事件にキムジャジョムと貴人趙氏が関与したという疑いが広まり、キムジャジョムの評判は急落しました。
昭顕世子の死後の異常な様子については、仁祖実録:1645年6月27日に記録されています。詳しくはこちら>>昭顕世子(ソヒョンセジャ)の家系図【謎の不可解な死因】
キムジャジョムの最期と一族の滅亡
孝宗が即位すると、キムジャジョムは清討伐をめぐる意見の対立などで再び流刑。清への密告が露見し、最終的には息子の金鉽が謀反を起こしたことで、キムジャジョム自身も処刑されました。
キムジャジョムの失脚後、その一族は徹底的に断罪されました。息子・金鉽は謀反により処刑され、長男・金鍊は拷問中に死亡。孫・金世龍も王女の夫でありながら官職を剥奪されました。一族の男は処刑、女・子どもは奴婢、財産は没収されたと伝えられています。
キムジャジョムの生涯年表
年月日 | 年齢 | 出来事 |
1588 | 1 | 金琢の息子として生まれる |
1618 | 31 | 兵曹佐郎に任命される |
1623年 | 36 | 仁祖反正に参加。定社功臣一等、洛興君に封じられる |
1636年 | 49 | 丙子の乱に敗北。責任を取らされて流刑 |
49 | 朝鮮側が惨敗。責任を取らされて流刑 | |
1640年 | 53 | 仁祖の特赦を受け、政界復帰。孫と孝明翁主と婚姻 |
1642年 | 55 | 兵曹判書になる |
1643年 | 56 | 右議政になる。清に派遣される |
1644年 | 57 | 左議政になる。 |
1645年 | 58 | 昭顕世子、嬪宮姜氏が清から帰国 |
58 | 昭顕世子と愍懐嬪姜氏夫妻を死に追いやる | |
1646年 | 59 | 領議政に封じられる |
1649年 | 62 | 仁祖が崩御、孝宗が即位 |
1650年 | 63 | 孝宗と対立、江原道 洪川に流刑 |
1651年 | 64 | 流刑先で清と内通が知られ、光陽に流刑 |
64 | 息子の金鉽の謀反がばれて、処刑される |
キムジャジョムが登場するドラマ
キムジャジョム(金自點)は仁祖反正の主導者で、その功績により朝廷の重臣となった人物です。
また、昭顕世子の毒殺にも関与していたといわれるため、そのエピソードを扱った多くのドラマに登場しています。
馬医(2012年、クォン・テウォン)
花たちの戦い -宮廷残酷史-
(2013年、チョン・ソンモ)
華政(2015年、チョ・ミンギ)
ポッサム(2021年、ヤン・ヒョンミン)
( )内は演じた俳優
「花たちの戦い-宮廷残酷史-」は「宮廷の花-争いの歴史-」というタイトルで放映されている場合があります。
まとめ
キムジャジョムは仁祖反正で仁祖を王に仕立てることに成功すると、王に取り入り出世していきます。孫の金世龍(キム・セリョン)を仁祖の娘と結婚して、外戚となるとますますその権力を拡大していきました。
しかし、仁祖が亡くなり、孝宗が王に就くと、その権力に陰りが見え始めました。清との関係をめぐる対立、内通疑惑、そして息子の謀反によって一家は破滅。野心と実力を兼ね備えた人物でありながら、その終焉は無惨なものでした。