ドラマ「麗」に登場するヒロインのヘスは実在した人物なのか?
光宗の側室・宮人金氏の可能性は?
史実と照らし合わせながら徹底解説します。
麗のヘスは実在した人物?
ヒロイン・ヘスは実在した人物ではなく、架空キャラクターです。
「麗〜花萌ゆる8人の皇子たち〜」は、中国のドラマ「宮廷女官 若曦(ジャクギ)」をリメイクした作品でした。
従って、ヘスは「若曦(ジャクギ)」に登場するヒロインを韓国版に置き換えた女性で、実在した人物ではありません。
では、「麗」を作るにあたって、ヘスのモデルになった人物はいたのでしょうか?
【PR】スポンサーリンクモデルとなった人物はいた?|光宗の側室・宮人金氏
史実によると、第4代高麗王・光宗には、1人の正室と2人の側室がいたことは明らかです。更に、光宗にはもう一人謎の女性・宮人金氏がいました。
<光宗と関係した女性>
関係 | 名前 | 備考 |
正室 | 大穆王后 | 太祖と神静王后 皇甫氏の娘 |
側室 | 慶和宮夫人 林氏 | 第2代国王恵宗の娘 |
宜慧貴妃 大氏 | 渤海国王族出身 | |
女官 | 宮人金氏 | 詳細不明 |
彼女についての記録はほとんどありませんが、顯宗20年(1029年)の「高麗史」に、次のような文言があります。
庚午 贈光宗宮人金氏賢妃
光宗の宮人金氏を賢妃に追贈する
顯宗20年(1029年)11月16日
80年以上経った第8代高麗王・顯宗のときに、彼女は側室の「賢妃」に格上げされています。光宗にとってはよほど重要な女性だったのでしょう。
ただ、宮人金氏の性格や行動、エピソードなど、史実では一切不明のため、ドラマのヘスのようなキャラクター性を与えるには情報が不十分だと考えます。
【PR】スポンサーリンクヘスは王旭の妻の従姉妹?|ドラマの設定
ドラマ「麗」では、ヘスは第8皇子の王旭(ワン・ウク)の妻の従姉妹という設定でした。
史実では、王旭の妻は宣義王后です。彼女は太祖と貞徳王后の娘で、王旭の異母妹にあたります。

当サイト「雲の上はいつも晴れ」が独自に作成した家系図
<王旭と宣義王后の関係>
従って、ヘスが王旭の妻の従姉妹とすれば、太祖の6番目の妃である貞徳王后の兄弟姉妹の娘にあたります。
しかし、そのような女性の記録は史料上確認できません。やはり、ヘスは架空の人物と考えるべきでしょう。
崔知夢(チェ・ジモン)は実在した人物?
「麗」には、もう一人、ヘスのように時代を移動できるトラベラーが登場しています。実は、この崔知夢(チェ・ジモン)には実在したモデルがいました。
史実の崔知夢は新羅の豪族を父とする、天文学を勉強した予言者でした。彼は、太祖の三国統一を予言。その後も数々の予言を当て、第4代高麗王・光宗まで仕えています。
ドラマ「麗」では、この予言の力はトラベラーによるものと、巧みに物語に取り込んでおり、史実をうまく融合させたキャラクターと言えます。
中国ドラマ「宮廷女官 若曦(ジャクギ)」とは?
韓国ドラマ「麗」は中国ドラマ「宮廷女官 若曦」をリメイクした作品です。
若曦(ジャクギ)のあらすじ
張暁という女性が交通事故に遭い、清朝の康熙帝の時代にタイムスリップ。彼女の心は第八皇子の側室・若蘭の妹である若曦に入り込み、やがて皇子たちとの恋や後継争いに巻き込まれていきます。歴史の結末を知っている張暁はこの状況に戸惑いながらも事実を受け入れていきます。
登場人物の対比
「宮廷女官 若曦」の登場人物が「麗」では、次の人物に対応しています。
宮廷女官 若曦 | 麗<レイ> | ||
馬爾泰 若曦/張暁 | 女官 | ヘス/コ・ハジン | 高麗の少女 |
胤禛 | 第四皇子 | ワン・ソ | 第四皇子 |
胤禩 | 第八皇子 | ワン・ウク | 第八皇子 |
胤祥 | 第十三皇子 | ペガ | 第十三皇子 |
胤禵 | 第十四皇子 | ワンジョン | 第十四皇子 |
胤礽 | 皇太子 | ワン・ム | |
胤禟 | 第九皇子 | ワンウォン | 第九皇子 |
胤䄉 | 第十皇子 | ワン・ウン | 第十皇子 |
康熙帝 | 清の第4代皇帝 | 太祖 | 初代高麗王 |
このように、設定や人物構成がかなり忠実に、韓国版へとリメイクされていることが分かります。
まとめ
韓国ドラマ「麗〜花萌ゆる8人の皇子たち〜」は中国ドラマの「宮廷女官 若曦」のリメイク作品で、「麗」に登場するヒロイン・ヘスは架空の人物でした。
史実においては、光宗に寵愛された「宮人金氏」が存在しますが、情報が極めて乏しく、ヘスのモデルとは断定できません。
しかし、崔知夢のように史実をベースにした登場人物も存在する中で、ヘスは物語の創作性を象徴する存在だと言えるでしょう。