韓国ドラマ「逆賊-民の英雄ホンギルドン」は実話ではありません。許筠(ホ・ギュン)の小説『洪吉童伝』をモチーフに、ドラマ独自の創作を加えたフィクションです。
この記事では、ドラマのもとになった小説『洪吉童伝』と、主人公・洪吉童のモデルとされる実在した洪吉同について詳しく解説します。
逆賊-民の英雄ホンギルドンは実話?
「逆賊-民の英雄ホンギルドン」は作家の許筠(ホ・ギュン)が書いた小説『洪吉童伝』をモチーフに、ドラマ独自の人物設定や物語を加えたフィクションです。 『洪吉童伝』は韓国文学を代表する古典の一つで、洪吉童(ホンギルドン)は現在でも広く知られている人物です。日本でいえば、桃太郎のような存在です。
小説「洪吉童伝」
『洪吉童伝』は許筠(ホ・ギュン)の作品とされる朝鮮時代の古典小説です。光海君の時代に成立したとされ、現存する最古のハングル小説とする説もありますが、成立過程を含めて議論されています。
小説の主人公・洪吉童は悪行を行う役人・僧侶・貴族などを懲らしめ、奪った金品を民に分け与えます。日本で言う石川五右衛門やねずみ小僧のような存在です。国王は洪吉童の力を認め、官僚にしようとしますが、洪吉童はこれを断ります。最後は部下とともに朝鮮を抜け出して、律島国に身分の差がない理想国家を建設するという物語です。
「逆賊-民の英雄ホンギルドン」とは、かなり内容が異なる物語でした。
洪吉童(ホンギルトン)は実在したのか?
洪吉童には、実在した人物がモデルになったという説があります。第10代王・燕山君の時代に実在した洪吉童と同音の洪吉同(ホンギルトン)という盗賊です。
実録には、洪吉同が官服を着て役所に出入りしていたことが記されています。小説の洪吉童は民衆を救う義賊として描かれますが、実録に登場する洪吉同は、強盗として討伐の対象になった人物でした。
洪吉同が捕えられたときに、高官らが啓上した言葉が残っています。
聞, 捕得强盜洪吉同, 不勝欣抃。 爲民除害, 莫大於此。 請於此時窮捕其黨。
<燕山君日記:燕山君6年10月22日>
ただし、許筠が実在の洪吉同をモデルに洪吉童を書いたのかは定かではありません。さらに、ドラマのホンギルドンも実在した洪吉同をモデルにしてはいません。
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『洪吉童伝』の作者とされる許筠(ホ・ギュン)は、朝鮮王朝時代の文人・官僚です。身分制度など社会の矛盾を批判した人物で、その考えを小説にしたのが『洪吉童伝』です。
『洪吉童伝』では、身分による差別のない社会を求める主人公・洪吉童を描き、当時の社会制度を批判しています。
許筠は1618年、謀反の罪を着せられて処刑されました。『光海君日記』には、許筠を「逆魁(逆臣の首領)」と記した記録があります。
政院啓曰: “逆魁許筠等正刑後, 告廟ㆍ陳賀等禮, 請次第擧行。”
<光海君日記:光海君10年8月24日 1618年>
これは、許筠らの処刑を宗廟に報告し、陳賀などの儀礼を行うよう求めた記録です。
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小説『洪吉童伝』の洪吉童は、ハングルを作った第4代国王・世宗の時代の人物として描かれています。一方、ドラマ「逆賊-民の英雄ホンギルドン」は、実在した洪吉同が記録に登場する第10代国王・燕山君の時代が舞台です。
ドラマでは、奴婢の子として生まれたホンギルドンが、民衆を苦しめる燕山君に立ち向かいます。この設定には、身分制度への批判や、民衆の英雄として描かれる『洪吉童伝』の要素が取り入れられています。
つまり、ドラマは小説『洪吉童伝』の要素を暴君・燕山君の時代に組み合わせることで、ホンギルドンの英雄性をより強く描いた作品と考えられます。
まとめ
「逆賊-民の英雄ホン・ギルドン」は、小説『洪吉童伝』の主人公・洪吉童(ホンギルドン)を、民が苦しんだ燕山君の時代に置き換えて描いた創作物語です。ドラマ独自の人物設定や事件が盛り込まれています。
実在した洪吉同は、朝鮮王朝実録に盗賊として記録されています。一方、小説の洪吉童は、不正を行う権力者を懲らしめ、民を助ける英雄として描かれています。
つまり、実在した洪吉同(ホンギルドン)と小説の洪吉童(ホンギルドン)、そしてドラマのホンギルドンは同一の人物ではありません。
ドラマは、実在した洪吉同と小説『洪吉童伝』をもとに、燕山君の時代を舞台として新たなホンギルドンを描いた作品です。こうした背景を知ると、「逆賊-民の英雄ホン・ギルドン」をより深く楽しむことができます。